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:鍵山雛("少女"名義も同様)

 

また一人、この幻想郷に迷い込んだみたいね

幻想郷(ここ)が美しい?

ここに迷う者はみな口を揃えてそう言うわ

あなたの住んでいる世界は相当濁悪に満ちて穢れているのね

あなたから強い厄を感じるもの

けどね、ここはあなたが思っているほど美しい世界ではないのよ

この景色はある意味仮初めのもの

本当は穢れに満ち、朽ち果てた世界なのよ

それでもこの幻想郷を美しいと言えるのなら、見せてあげるわ

尊き絶望を目の当たりにしても一縷の希望を見出す事が出来る洞察力と勇気があるのか

口先だけでない事をこの私に証明してみせなさい

覚悟はいいかしら?

 

スペルカード発動

災厄「ダークサイドオブカタストロフィ」

 

少女がスペルカードを発動した瞬間、周りの景色が突然暗黒に染まり出した

その暗闇の中から血液に似た淀みつつも鮮やかな紅い雫が雛の周りで渦を巻き、次第に聞き覚えのない声が聞こえ始める

この世の者とは思えない慟哭に似た阿鼻叫喚の数々が主人公を取り囲むように響き渡る

無数の声は少女に集まる厄(ここでは亡くなった人々)が放っているもので、少女のスペルカードによって紅い雫として具現化して主人公の前に現れている

もちろん、厄というのは眼に見えるものではないが、少女はその厄を見る事が出来るし、扱うのに長けている人物なのだ

幻想郷は全てを受け入れる

分け隔てなくと言えば聞こえはいいが、その中には人間以外にも妖怪や鬼、神など様々な人種が錯雑と入り混じっている

 

もちろん、幻想郷入りした全ての者が善人というわけではない

元の世界に住んでいた犯罪者を始め、幻想郷の存在を揺るがすような大異変を起こした大罪人も住んでいる

思想×思想が渦巻き、我欲に溺れ、幻想郷を支配しようとする反逆者達との激しい攻防戦の末に犠牲になってしまった罪無き人々

その人々の声が、今少女のスペルカードによって声を発する権限を与えられ、主人公の脳内を駆け巡るように語りかけ、少しずつ神経をすり減らしていく

 

少女が放ったスペルカード「災厄 ダークサイドオブカタストロフィ」

少女に集まる厄(亡くなった人々)達が見てきた景色を対象者に見せる事で精気を奪う究極の精神攻撃である

特に、本題から眼を背き続けて逃げ惑う者に現実という絶望の淵に叩き落とすために使われる事が多い

また、今回の主人公のように幻想郷に迷い込んだ者に対して幻想郷で生活していく事が可能か適性検査をする意味合いで用いる事もある

 

聞こえるかしら?

何も悪い事をしていないのに数々の異変に巻き込まれて朽ち果てた彼らの悲痛の叫びが

あなたが今踏みしめている大地

その地下にはこれまでに命を堕としていった人々の骸が眠っているのよ

あなたが来る前に迷い込んだ者達はみなこの時点で吐き気と頭痛に悩まされて蹲ってしまっていたわ

ひどいと失神してしばらくの間立ち上がる事も出来なったわ

利己主義な者ほど耐えられない

けど、あなたは今まで出会った者達と少し違うみたいね

この先の景色を見た者はまだ誰もいない

さぁ、あなたは亡くなった人達の絶望する姿を最後まで見届ける事が出来るかしら?

心して見なさい!

罪無き亡者達が無力で何の抵抗も出来ないまま見せられた幻想郷の悪夢を!!!

 

そう少女が宣言した瞬間、暗黒に染まっていた景色が次第に彩を取り戻し、主人公の目前に広がっていく

しかし、彩のついた景色は鮮やかとは程遠い鮮血に染まる残酷な世界だった

かつての異変の首謀者達の嘲笑う声、それを前にして何の抵抗も出来ずに蹂躙されていく幻想郷の住人達

声しか聞こえなかった状態だったものが情景として映し出され、生前の厄(人々)達になりきったかのように当時の景色が眼前に再現化されていく

 

少女(鍵山雛)は本来人懐っこい性格で、特に気に入った人間がいるとついていってはちょっかいを出して楽しい日々を過ごしていた

しかし、数々の異変によって愛していた人々が犠牲になっていく姿を目の当たりにしていくうちに特別な感情を抱く事に対する虚しさを覚えてしまい、次第に妖怪の山に引きこもり、感情を殺して誰に対しても心を開かなくなってしまった

全てを受け入れる幻想郷故にこの現実は避けては通れない茨の道である

 

それでも、彼女にとって「幻想郷が美しい」というワードは、そうした壮絶な過去を見てきた彼女の心を抉るに等しい禁句なのである

不必要な死の積み重ねによって築かれた幻想郷を「美しい」と言える者達の言葉に込められた思いの真相を確かめるためにスペルカードを通じて警鐘を鳴らしているのだ

この凄惨な景色を見始めてからとある違和感を主人公は覚えていた

聞こえてくる声と景色がどうにも自分に直接的に向けられていないと

きっとこのスペルカードを通じて少女は自分に何かを伝えようとしている事があるに違いない

そう察知した主人公の目つきが次第に変わっていく

少女がその様子に気付き、言葉を紡ぎ出した

 

幻想郷は様々な人達の思想によって創られた並行世界が無数に存在する

私はそれぞれの幻想郷に存在する私自身とネットワークを繋いで全ての厄をここで管理しているの

私の大好きだった人達も醜い悪魔の手によって幾人も犠牲になった

中にはあられもない姿となって私の目の前で尽き果てていったわ

私は皆に不幸な事が起こらないよう厄を請け負う事しか出来ない

それでも、私は私に出来る使命を今もこうして全うしている

 

こんな悲劇は二度と起こってはならない

そう願っても増えるのは新たな犠牲者

それを幾度となく見てきたからこそ上辺だけで「幻想郷が美しい」と口にする者が許せない

このスペルカードを前にしてみな怯え、泣き叫び、元の世界に戻してくれと命乞いをする者ばかり

そうした愚か者はみな幻想郷に住まわせて絶望した日々を過ごさせているわ

けど、あなたはこのスペルカードを前にしても怖気づく事もなく、むしろこのスペルカードの本質を見抜いて今もこうして立ち続けている

 

そう、このスペルカードは対象者に対して一切の攻撃はしていない

私もこの厄達も現実という景色を見せているだけで何も施していない

もし何かしらの攻撃を受けていると感じるなら、それは自分自身の心の弱さによって生まれた「思い込み」や「被害妄想」によるもの

心の弱さは物事を正確に判別する能力を鈍らせ、全てを否定的に捉えるようになる

それ支配、破壊の衝動へと転じる

心の弱さがある限り、幾重にも及ぶ悲劇がなくなる事はない

 

あなたからは強い意志を感じた

誰にも屈する事なく自分の信念を貫かんとする善ある揺るぎない覚悟

あの時言った言葉が口先だけのまやかしでない事もこれで証明出来た

久々に博麗の巫女と似た芯の強い人間に出会えた事が嬉しい

 

けど、あなたはここにいるべきではない

この冷徹で残酷な幻想郷の過去を最後まで見届ける事が出来たあなたなら、自分のいた世界でもあなたらしく生きていける事でしょう

 

さぁ、元の世界に帰りなさい

あなたの生きるべき幻想郷でこれ以上悲しみや憎しみで空が絶望に染まらないように

 

気付いたら朝を迎えていた

実際に幻想郷にいたかのような錯覚を覚える不思議な夢だった

そう思ってベッドから起き上がった瞬間、目の前に夢で出会った少女の姿に似た人形と手紙があった

手紙の中身にはこう記されていた

 

幻想郷に迷い込んだあなたへ

 あなたを私の愛する大切なお友達に認定し、その証として雛人形をプレゼントします

 これから先、あなたに降りかかる不幸をその人形を通じて厄として私が全てもらい受けます

 あなたが人として生涯を全う出来る事、あなたの暮らす幻想郷に幸がある事を願い、これからも私が側であなたを守り続けます

 もし、またいつか会う事が出来たら、その時は、あなたの住んでいる幻想郷についてたくさんお話を聞かせてね

鍵山雛

 

どうやら夢ではなく、本当に幻想郷という世界に足を踏み入れていたようだ

どうやって行けたのかは全くもって謎だが、離れていても自分の事を想ってくれる友人が出来たのはとても心強い

どんな苦境も"絶望"を"希望"へと転じていけるよう大切な友人「鍵山雛」の想いを胸に、これからも自分らしく生きていこうと思う

 

この動画は、東方Projectの公式設定を参考にして制作した二次創作です

なお、作中に登場するスペルカードはこの動画のためにうp主がオリジナルで考案したもので、公式との関連は一切ありません(調べても出てきませんのでご注意を)

 

 

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※ジャケット画像:太郎様

 

https://x.com/taro_0211_?s=20

 

※Endless Storyの音源動画用のワンシーンを活用し、ジャケット画像用に編集したもの