竹台城に帰参した一行は、広間で当主・重雄に合同訓練の様子を報告していた。

たかやまが進み出て簡潔に経緯を語り、ハジメやキヨシもそれぞれ、加古山家での経験や学びを口にする。

「あちらの兵たちともすっかり打ち解けて、実り多き訓練であったと思います」
とキヨシが語ると、重雄は満足げにうなずいた。

一方で、ヒトミはどこか誇らしげなハジメの横顔をじっと見つめていた。
いつの間にか背筋が伸び、どこか頼もしくなった気がする。
心なしか、胸の奥がふわりと温かくなるのを感じた。

そのとき──

「ご報告いたします!」

廊下を駆けてきた若い兵士が、広間の前でひざまずき、声を張った。

「植杉田家より使者が到着、城門にてお待ちにございます!」

一同がざわめく中、重雄の表情がぴたりと固まる。

「……使者、だと?」

間もなく、丁重に案内された使者たちが広間へと現れた。

だが、その姿を見た重雄の目が大きく見開かれる。

「これは……」

竹台家の家臣たちも、息を呑んだ。

そこに座していたのは、植杉田家の当主・陽兎。
そして、あの戦場でかえでと出会った三男──陽巳の姿もあった。

重雄は眉をひそめながらも、静かに姿勢を正した。

「さて……これはただの使者ではあるまいな」

広間に張りつめる空気。

次なる展開が、静かに幕を開けようとしていた。



連続投稿 860日目。