雑誌(『美的』5月号)を読んでいたら、面白い記事がありました。

大塚ひかりさん、という方が書いている「古典美容道」というコラムで、

『源氏物語』の宇治十帖に登場する大君と中の君という姉妹について

書かれたもの。

以下要約。


『彼女たちは共に大変な美人なのだが、性格は対照的。

姉の大君は自信がない。

当時の貴族としては適齢期を過ぎていることを気に病んで、

貴公子に求婚されても素直に受けようとしない。

一方、妹の中の君は明るく楽天的。

色々あって、高貴な身分の匂宮(におうみや)の妻になる。

匂宮が訳あって中の君のところに行けなくなった時、中の君は

嘆きながらも「たまに逢う時にはあんなに愛を誓ってくれるし。」

と、心の底では楽観していた。

この一件を大きな「事件」と受け止め、大打撃を受けたのは、むしろ

姉の大君。心労のあまり拒食症になってしまう。

そこに追い討ちをかけるように、妹の夫が他の女性と結婚する噂が。

「妹が世間の笑いものになってしまう。」と大君が打ちひしがれる一方

中の君も物思いに沈み、昼‘うたた寝’(要するに昼寝)したりする。

悩んでいても、姉に比べてのん気なのである・・・。

結局その直後、姉の大君はやせ衰えて、あっけなく死んでしまう。

中の君は、匂宮の有力な妻の一人としてそれなりの地位を獲得し、

世間からは「幸ひ人」と呼ばれることになる。

同じ美人姉妹でもこうも違う末路。


大君のように、自分の美しさを自覚できない人がいる。

それゆえ自信をなくし、くよくよし、さらに美貌も損なわれて、

いっそう自信をなくし、くよくよする・・・という悪循環に。

一方で、中の君のように、男の連絡が多少途絶えても、

自信があるからくよくよしない、それで美貌も保たれ・・・という人も。

要するに、自分を「美しい」と思えず、自分をないがしろにしていると

他人にも敬意を払われず、自信をなくして幸運を逃すのである。

美は自覚してこそ、力を発揮するのである。』


実際はもっと詳しく書かれているので、もっと説得力あります。

この「美しい」っていうのを、「大切」とか「役に立つ」とかに変えても、

結構当てはまるかなぁと。

自分自身のいいところ(ばかりではないにしても)を自覚できると、

持てる力を十分発揮して輝けるのかな~と思いました。

自分を信じることができたら、何かあっても乗り越えていけますね。

私は絶対『中の君』タイプになりたいなにひひ音譜