会社帰りに立ち寄ったスーパーで若者たちに声をかけられた。
私は地元の出身じゃないので、制服でどこの学校かわからない。
顔つきと体つきからして高校生なのはなんとなくわかった。
自転車に寄りかかっているが、まっすぐ立てば私より20センチは高いだろう、そんな男の子たち。
「こんにちはー」
「会社帰りですかー」
「お腹すいてないですかー」
打ち合わせでもしていたのか、立て続けに言葉をかけてきた。
なんとなく足を止めたのは、まあ、彼らが結構かわいかったから。別に言い訳はしない。
「こんにちは。会社帰りだよ、お腹は夕方だなってくらいにはすいてるね」
とりあえずそんな感じで聞かれたことに答えてみた。
「なんか食いに行きません?」
要は、僕たちお腹すいてるけどお金ないからなにか食べさせて!ということらしい。
すごいな最近の若者は。びっくりするくらいにストレートだ。
その潔さを評価して、その申し出を受けてみることにした。
マジで?!と言われたときは冗談だったのかと思ったが、次の瞬間ハイタッチで喜んでた。
ハイタッチって、若いな。
こんなアホな誘いをホイホイ受けるのもどうかと思ったが、別に金よこせといわれたわけじゃないし
悪さされそうな雰囲気の子達でもなかったし、そもそも用心するには私はずいぶん年上だし。
あと、彼らが結構かわいかったから(2回目)。言い訳はしないってば。
食べ盛りの男の子に贅沢させるようなお金はないので、歩いていける距離のファミレスへ。
高校生男子3名と私。先生にでも見えただろうか、誰かの姉は歳が厳しいか。
席についた彼らはメニューまっしぐら。あれがウマイこれも食いたいと大騒ぎしてる。
私もそれなりに空腹だったので自分のメニューを決める。オムライスにしよう、デミソースのかかったやつ。
そう決めて視線を上げると、男子3人がこっちを見てる。
「これとこれとこれ、いいですか?」
それぞれが決めたメニューの了承を取りたいらしい。なんだ、図々しいのか礼儀あるのかわかんないぞ。
指差した先はハンバーグセット、フライ定食、焼肉定食。なんとも男子らしい食べ物だ。
なんでも好きなもの頼んだらいいじゃないと告げると、またハイタッチ。流行ってるの?
それぞれの注文を済ませて、食事が出てきて、がつがつと食べる間は特に身のない会話。
会社勤めてるんですか?どんな仕事なんですか?この近くに住んでるんですか?
いくつか聞かれたことには、簡単に答えた。ほとんどは「まあね」の大まかな肯定。そのとおりだから。
彼らは中学からの友人で市内の同じ高校に通学しているらしい。
いつもはさっきのスーパーでパンやお菓子を買ってすませているが、リョウという名の少年が今日はどうしても肉が食べたいと言い出した。
他の2人も肉という単語を聞いたとたん、すっかり肉の口になってしまい私に声をかけてきたとのこと。
彼らの会話から、それぞれリョウ・タツ・カズユキという名前なことがわかった。あだ名かもしれないけど。
私のことはお姉さんと呼んでくれてたので、特に名乗ってはいない。
高校生男子がファミレスの食事で満腹になるのかはわからないけど、
とりあえず満足したらしい彼らとは店の前で別れた。
「ごちそうさまでしたー」声をそろえて言うのがカワイイ。
「いつか出世払いしますから!」
調子のいいことを言ったのは確かタツと呼ばれていた少年。
「期待してるねー」ととりあえず答えてみる。頑張って出世するといいよ。
一人暮らしの私には結構な出費だったけど、嬉しそうだったからまあいいか。
たまにはこういうのも悪くない。
