鏡を見るのも、嫌だった。
自分の姿を、直視するのがつらかった。
どんどん「自分じゃない自分」になっていく感覚。
そして、周りからどう見られるかが、ただただ怖かった。
友達にどう思われるんだろう。
彼氏は、どう感じるんだろう。
その“評価”が、私を生かし、
同時に、私を苦しめていた。
『学校に行きたくない』
勇気を出して、母に伝えた。
「どうして?」
そう聞かれたけれど、それ以上は何も言えなかった。
「太った姿を見られるのが怖いの」
なんて、言えなかった。
お母さんが、心配すると思ったから。
その顔を見るのが、つらかったから。
だから私は、
「学校に行くふり」をして、
教室ではなく、“保健室”に通っていた。
静かな保健室。
誰とも話さず、誰にも会わず、ただ時間が過ぎていく。
でもそれは、
「本当の自分から逃げる時間」でもあった。
こんな自分は、本当の自分じゃない。
でも、どうやって“本当の自分”に戻ればいいのか――
わからなかった。
学校から帰ってきた私は、
また自分を責めて、また過食に走った。
食べて、食べて。
その時間だけが、唯一“自分”に戻れるような気がした。
何も考えず、
ただ「おいしい」と感じられるその瞬間だけが、
ほんの一瞬だけ、心を麻痺させてくれた。
でも、それはすぐに終わる。
そのあとにやってくるのは、
罪悪感。恐怖。絶望。
「また食べてしまった…」
「また太ってしまう。もう誰にも会えない…」
そう思えば思うほど、
また自分を傷つけるように、
食べることで埋めようとしていた。
ほんとうは、助けてほしかった。
でも、その“助けて”の言葉が出せなかった。
