ランボーを単なる戦争映画だと思っていたら、『ランボー1』は全然違った。
ランボーという名前のベトナム戦争の帰還兵が、警察によって不当に逮捕され、彼らに暴力をふられる。ランボーはそれに反発して、警察署から脱走する。逃走するランボーVS彼を追うたくさんの警官、それが『ランボー1』のメインバトルで、厳密にいえば戦争ではない。
この作品はエンターテイメントというよりは、メッセージ性の強い映画で、帰還兵(戦争で正義だったもの)と警察を戦わせることで、ベトナム戦争の意味を改めて問いただしている。
物語化することで、黒でも白でもないところを提示するところは、手塚治虫の作品と手法が似ていると思った。
映画のなかで安易な答えをだすよりも、ランボーというキャラクターをとおして、時代が作りだしたドコにも着地できない浮遊感を描写することのほうが、よりテーマにそう適した表現だと思った。
また、冒頭では警察が脅威として描かれているのだけど、視点の切り替えが中間部にあって、ランボー自身が脅威として描かれている部分もあって、『ランボー1』は敵味方のはっきりした単なるアクションものではない。
ランボーは果てしなく強いけど、子どもみたいに、生身の人間として、目の前の現実と触れている。
どんな主義主張があったとしても、仲間がなくなれば悲しいし、願わくば誰かをキズつけたくない、それがランボーというキャラクターだ。
ランボーは兵士である前に、1人の人間なのだ。
ちゃんとそれが伝わるように、この映画は丁寧に作られている。
クライマックス前に、少し整合性を失って、「?」と思える部分があるけど、『ランボー1』は誠実な映画だと思う。