国語の教科書でチェーホフの「賭け」をならいました。
ある、パーティーの席で 死刑が終身刑かどちらが倫理的かという話題になり、
議論がエスカレート
ホストの銀行家は、死刑のほうがじわじわと長い時間をかけて命を吸い取る終身刑より人道的だといいます。
若き法律家は、どちらも不道徳であるけれども、どちらかを選ぶとなったなら、終身刑を選ぶといいます。
銀行家は、200万ルーブル賭けるが、5年と持たないだろうというと、
法律家は、15年は持ちこたえて見せますと答え、
銀行家は200万ルーブルを
弁護士は自由を賭けることとなります。
15年間、銀行家の家の離れでの幽閉生活がはじまります。
短編なので、すぐに読めるおはなし。
はじめは孤独だった法律家も、
様々な本を読んだり、勉強をしたりして、
15年の年月が流れます。
そして、期限の日が。
そのころ、銀行家は、事業も傾き、200万ルーブルを払えば破産してしまう。
200万ルーブルを払いたくなくて、
法律家を殺そうとするのですが…
離れに入った銀行家が見たのは、
テーブルに向って動かない、
眠っている、
40そこそことは思えない、白髪交じりの骸骨のようにやせた、
まるで老人にしかみえない法律家の姿。
テーブルには一枚の紙が。
「15年間本を通じてこの世の生活を研究した。様々な本は、叡智を与えてくれた。だが本の知識などははかなく、むなしく、まやかしである。かつては楽園を夢想していたが、200万ルーブルの受け取りを拒絶する。約束の期限の5時間前に、ここを立ち去り、契約を破棄する」
これを読んで
ほっとして銀行家は部屋を立ち去ります。
翌朝、法律家は窓から抜け出し、門を出て行方をくらませます。
そして、無用の噂を立てられぬように、権利放棄の書付を金庫にしまう…
ここまでが、教科書にのっていました。
さて、この話はこの2章で終わりですが、実は“失われた3章”があるということを先生は教えてくれました。
それは、
銀行家はその1年後、またパーティを開いた。
そこでは、今度は、よくある「富や財産なんていらない」と否定する意見が出た。
その中でひとり「健康で頭がいい人でお金をいらないという人はいない」と主張する人がいた。銀行家は法律家を思い出して、「理想のためにお金を蹴った人もいる」と論争になった。
そこでまたしても賭けになった。
証拠を見せれば賭けに勝つ。そこで銀行家は法律家の手紙を取りに金庫に行くと、
突然あの法律家が現れてこう言った。
「書物と違って人生は魅力的だった。やっぱり200万ルーブルをくれ」と。
銀行家は結局破産してしまう。
中学生の私には、とても衝撃的なお話でした。
2章で終わったほうが、ハッピーエンドなのか。でもきれいごとなのかも。
3章で終わるほうが、真実かも。
どちらで終わっても、すっきりしない感じのおはなし。
先日、同窓会で、その国語の先生とお会いすることがあり、このことを話すと、
そんな授業したかな??
覚えてないなあ
といわれ、
チェーホフの賭けのもう一つの結末を聞いた時よりも
衝撃を受けたのでした(笑)