オーストラリアから4枚目 | チャーリーのファボミュー

チャーリーのファボミュー

このブログはチャーリーが聴いた音楽の中で「これは良い!」と思った作品やアーティストを書き留めています。勢いのある旬な音楽を好むため自ずと若手中心になっています。たまに映画についても書いています。

YeYe
中国語で “おじいさん” という名の女性SSW。
自己のアーティスト活動の他にも無印良品やダイハツなどCM曲から映画音楽まで手掛ける才女。

MOTTAINAI
オーストラリアへ移住したYeYeの4枚目アルバムが11月8日にリリースされた。

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ザラザラと尖った印象だった前作「ひと」から約1年4ヶ月ぶりとなる新作がどれだけ鋭角さを光らせているかと期待していたが見事に裏切られた。
いや悪い意味ではない、作を追うごとに彼女の持つブルージーな感性が円熟味を増し、今作では一つの頂きを越え一層スケールアップしたように感じた。
平たく言えばより本物のアーティストに近づいたということ。
音楽をやり始めた時は誰でもアマチュアで、誰かの模倣だったり誰かと誰かの継ぎはぎだったりするものだけど、試行錯誤と経験を積むごとにそれらのぎこちなさが取れ深みを持ったオリジナリティへと変貌していき、やがては本物のアーティストになっていく。
そういう意味でYeYeはこの1年でひと皮剥けたように感じた。オーストラリアでの生活が彼女の何かを変えているのかもしれない。

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MOTTAINAI

1曲目「Bleesing in Disguise」から唸ってしまった。
いきなり歌から始まり重めな8ビートに乗るコードB7とC#7の繰り返し、それに合わせるブラスのパッシング、音数も少なく派手さはないもののめちゃくちゃカッコ良さが出ている。

2曲目「Paddle」は8分音符を刻む印象的なハンドクラップの縦ノリが小気味良く歌の完成度も高い、ヴィブラフォンのブレイクからユニゾンリフを経てカオスな間奏へなだれ込むところとかビートルズを彷彿とさせ、1曲目に続きカッコ良い!

この最初の2曲だけでもこのアルバムは買いだ!

3曲目「Twist」は以前「高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち"We are Here"」でコラボした曲のリミックス。フレーズ切りしたデュエットが斬新。

4曲目「ゆらゆら」は映画 “恋とさよならとハワイ” 書き下ろし主題歌。ギターのスリーフィンガーが穏やかで最もJ-pop寄りの馴染みやすい曲。

5曲目「Walking on the trees」はC△7とFの2コードだけで繰り広げられるリラックスムードの曲。
当初treesのところをstreetにしていたけどメルボルンの大きな木を見てこのタイトルにしたとか、、、。

6曲目「うんざりですよ」はドラムのリッキーさんとのデュエット、これもスリーフィンガーの穏やかな曲。後半さりげなく入ってくるトロンボーンはLucky Tapesホーン隊のNAPPIさん。

7曲目「Slightly」はドラムループやリバースシンバルや深めなリバーブヴォイスなどを使った実験的な曲。楽想は4曲目から続く穏やか調。

8曲目「I see the forest you see」はYeYe本人曰く個人的にリードトラックとのこと。どこか日本的な風情がありメンバーによる男性コーラスが壮大なイメージを作っている。YeYeは木ではなく森を見ているのかもしれない。

9曲目は8曲目のピアノバージョン、成道さんとYeYeによるお遊び連弾。


YeYeは現在ご懐妊で帰国中、予定していたツアーも取り止め、来年日本での出産後に活動再開するらしい。
母になってまた新しいYeYeに期待したい!