F1ドライバーが最初に戦うライバルはチームメイトだと言われます。クルマの性能や職場の環境など、同じ条件で走る相手との実力差を示す事が給料に直結しますからね。だから、相手を打ち負かそうと懸命に戦うワケで、そうしたチームメイトのガチンコ勝負がわたしは大好きでした。ただ最近は、ドライバー個人よりチームの勝利優先で、意図的に競わせないレースもあります。
そこで今回は、同じチームのふたりのドライバーが見せた光景の中で、わたしのお気に入りを何枚か掲載します。トップ3チームからそれぞれ、もう2度と出現しないチームメイトの貴重な姿です。
現在でも、わたしが2番目に気に入っている感動的な光景です。ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグは、10代前半から互いに競い合い切磋琢磨しながらF1まで到達した仲です。2014年以後、圧倒的に強いクルマで走った3年間。その最後のシーズンは、ガレージで目も合わせず挨拶すらせず、レース中の無線でチームメイトを語るとき、名前ではなく「もう1台のクルマ」なんて言うほどふたりの関係は崩壊していました。ただ、彼らの心の奥深くには、彼らにしか理解できない「何かの感情」があったし、それは今も消えてないとわたしは思っています。その感情が、ニコの一瞬の表情に現れた姿がこれです。
マックス・フェルスタッペンがダニエル兄貴を心から慕っていたのは、レッドブルのサイトに掲載される多くの動画を見ればよ~く解ります。笑顔の弾け具合が、現在とは比較になりませんからね。ダニエルの去就がウワサされていた時期も「レッドブルに残ってほしい」なんて、健気なコメントしておりました。でも、やっぱり28億円は魅力的でしたか…って、今回はそんな話じゃありませんね。ふたりがチームメイトだった時期、ダニエル兄貴とマックス弟分のホッコリ写真はたくさんありましたが、わたしが選んだ1枚はこれ。去年のシンガポールGP木曜日の風景だけど、さすがにこれでマリーナ・ベイ1周は無理だったそうです。
「チームメイトに真の友情はない」というF1の古い考え方を変えたのが、2015年から4年間のキミ&セブでした。フェラーリ・レッドを纏うふたりのツーショット写真はわたしの手元に山ほどあるけど、今回はその中で、実にさりげない一瞬を切り取った光景を選びました。それでも、1枚に絞れなかったので2枚。パッと見のインパクトは薄くても改めて見直すと、セバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンの表情や仕草がいかに自然で無理がないか解かるでしょう。これが、カタチとしてファンの目に映る彼らの友情です。
チームメイト時代はセッション以外のときは100%一緒にいたし、現在もプライベートではよく合うふたり。今のチームメイトと仕事で同席するとき、セブの見せるぎこちない笑顔を目撃するたび、去年までの彼を思い出してしまうわたしです。タイトコーナーで並びかけた場合、キミは引いてくれたけど今年のチームメイトは絶対に譲りませんからね。もちろん、これは友情とは関係ないけど、あれこれ複雑な「大人の事情」にセブの笑顔も曇ります。