結婚式が終わると、すぐにヒナはローガンの実家へ。
やっぱりエピーさんの具合が悪そうで心配なヒナ。



ヒナ「そう…ですよね。無理せずにゆっくり休んで下さいね」

エピー「ありがとうね、ちょっと横にならせてもらうよ……」


ローガンはまだ実家に帰ってきません。


ヒナ(結婚式後、神殿で地元の友達に囲まれていたから、抜け出すのに時間がかかっているのかも)

ヒナ(ローガンまだかな…)


オロオロとベッドと家の前を行ったり来たりするヒナ。


ヒナ(そういえばエドナさんの出産の時にも、ただオロオロと右往左往するだけだったな…。自分の無力さにほとほと嫌気がさすなぁ…)


夜になり、やっとローガンが帰宅し、神官のニーノも到着。
エピーさんの容態が悪化しました。


こんな時でも、なおも笑顔のエピーさん。


最期の言葉もとても優しい言葉でした。


ヒナ(でも…お義母さん、最後まで「ヒナ」って呼んでくれなかったな…。「シャルルさん」だなんて他人行儀な呼び方)

ヒナ(やっぱり心の中では、私とローガンの結婚を認めてくれてなかったのかな…)




エピーさんが息を引き取った後の、どんよりとした空気の室内。
ローガンはただただ茫然と立ち尽くし、先刻までエピーさんのいたベッドを見つめていました。



………てか、ニーノ君さ。
人の最期を看取る時に、いい匂いさせて来ないでよ。
いくら媚びない性格だとしても、さすがにそれはないわ…。



いつまでもその場を動こうとしないローガンを誘って、新居へと帰ることに。


帰り道でヒナはそっとローガンの手を握りました。


ヒナ「わたし、お義母さんのお具合が悪いことも知らなくて…。何も出来なくて…ごめんね」

ローガン「いや、ヒナさんに心配かけちゃうかと思って、私が言っていなかったから。でも逆に驚かせちゃったね、ごめん」

ローガン「病状が悪化していた事は知っていたけど、こんなに早いとは思わなかったよ…」
 

力なく微笑んだローガンの手を、ヒナはギュッと握りしめました。


ヒナ「ローガン、私の前だけでは無理して笑わなくていいんだよ。辛い時は辛い、悲しい時は悲しいって言ってね。そのままのローガンでいて欲しい」

ローガン「……ありがとう」


ローガンはギュッとヒナを抱きしめました。


ローガン「今はちょっと顔、見ないで」


そう言ったローガンの声は涙声で、ヒナは彼が泣いていることを知りました。


ヒナ「うん」



初春の柔らかな月の光が、優しく二人を照らしていました。