サミュエル・R・ディレーニ エンパイア・スター  【サンリオSF文庫】 

 

スペースオペラの衣を纏った思弁小説。時間、空間、言語認識の深化が主要なテーマだが、宇宙を舞台にした少年の成長物語としても読む者をぐいぐい惹き付ける。ディレーニの代表作バベル17よりこちらを推す人も多いと聞く。ー見気楽に読めながら、幾重にも深読みできる本作の味わいは、やはり格別である。枚数こそ少ないが、読み終えた後の充実感はなかなかのもの。SFの地平を切り開くパワーは充分だ。

 

 

 

 

無知なるシンプレックスから、深化したコンプレックスへ。さらに次元をあげたマルチプレックスへ。しばらくは、この概念が頭から離れなかった。AIがますます発達する世の中だからこそ、人間の意識はどこまでレベルアップできるのか気になるところ。千年くらい経てばマルチプレックスの域に達するのであろうか・・・。

 

 

 

 

ちなみにカバー表紙の美しい人物は最初見たときは少女と思ったが実は少年である。手元に佇むのは少年の相棒の八本足の猫、デビル・キトン。想像カを刺激する素晴らしいイラストだ。作者表記はディレイニーと書く場合もあるが、サンリオ派の私はディレーニ。