緊急避難 | 鈴木いつみ ♨️

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緊急避難

急迫な危険・危難を避けるためにやむを得ず他者の権利を侵害したり危難を生じさせている物を破壊したりする行為であり、本来ならば法的責任を問われるものであるが、一定の条件の下に免除されるものをいう。

刑法、民法、国際法においてそれぞれ意味が異なるので、

以下、個別に解説する。

刑事上の緊急避難

概説

刑法における緊急避難は、人や物から生じた現在の危難に対して、自己または第三者の権利や利益(生命、身体、自由、または財産など)を守るため、他の手段が無いためにやむを得ず他人やその財産に危害を加えたとしても、やむを得ずに生じさせてしまった損害よりも避けようとした損害の方が大きい場合には犯罪は成立しないという制度である。

「必要は法をもたない」という一般原則はかなり古くから認められてきたものであるが、学問上では緊急避難は正当防衛よりもさらに遅れて刑法学に登場した[1]

緊急避難の本質に関しては次のような学説の対立がある。

  • 違法性阻却説
    緊急避難は違法性阻却事由であり犯罪は成立しないとする学説。
    • 放任行為説
      緊急避難行為は放任行為であり違法性が阻却されるとする学説。放任行為説に対しては刑法上の行為は違法か適法かであり積極的に違法でないものはすべて適法行為であり妥当でないという批判がある[1]
    • 法益衡量説
      小さな法益を犠牲にしてでも大きい法益を保護することは法秩序の要求にも合致するとして違法性が阻却されるとする学説[2]。違法性阻却説(法益衡量説)は日本の刑法学では通説となっている[2][3]
  • 責任阻却説
    • 緊急避難は第三者の法益を侵害しており違法な行為ではあるが期待可能性を欠くため責任阻却事由として犯罪は成立しないとする学説。
    • 他人の法益のための緊急避難の場合には期待可能性を欠くとはいえないのではないかという批判がある[2]
  • 二分説
    • 緊急避難は原則として違法性阻却事由であるが、例外として責任阻却事由となる場合もあるとする学説。二分説はドイツの刑法学では通説となっている[4]
  • 処罰阻却事由説
    • 緊急避難が成立する場合でもその行為は違法かつ有責な行為であり犯罪は成立するが処罰阻却事由であるとする学説。
    • 緊急避難が成立する場合でも犯罪は成立するという解釈は、現行刑法の立場とは明らかに矛盾するため、この説をとる論者はみられなくなっている[5]

日本の刑法上の緊急避難