毎日大人の人たちが

忙しそうにする毎日。


あれから女の子はいつも

大人の人の様子を見ていました。


お店に来るお客さんの顔

お仕事しているお兄さんお姉さんの顔

お父さんお母さんの顔


女の子の遊び場は

お店の奥にある皆がご飯を食べたりする

お部屋で


折り紙をしたり

あやとりをしたり

みんなのお名前の漢字を教えてもらって

文字を書いたり…


お姉さんたちが

お仕事の手が空いた時に

上手にできると褒めてくれたり

色んなことを教えてくれたり


一人で遊んでいても

全然つまらなくなくて


テレビより

そんな世界が好きだった


夜になると小さな時は

お姉さん達がお風呂に入れてくれて

本を読んでもらったりもした


少し大きくなると

お兄ちゃんとお風呂に入っては

体を洗ったフリをして


身体を洗うタオルみたいなやつを

濡らして

洗ったフリをして

ただお風呂で水遊びをするだけで

出てきたりして


結局バレて

怒られちゃったり


そんな毎日が

女の子にとっての普通で

そういうものだと思ってた。


だけど、週末のおばあちゃんのお家は

女の子にとって特別で

いつだって温かくて

おばあちゃんと一緒に寝ると

夜中のトイレにもついてきてくれて

(4歩歩くくらいなのに)

寒い日だと

戻ってきて冷えきった足を

おばあちゃんの太ももの間に入れてくれて

寝かしてくれた


おばあちゃんは

女の子の全部を丸ごと

温めてくれた


女の子はおばあちゃんのお家が

大好きだったけれど


時々お母さんやお父さんに

そんな話をすると


お父さんから

「あんまりおばあちゃんちのお話を

しないようにしてね」


と言われるようになりました。


女の子は

(何かおはなししたらいけないことが

あるんだな)

と思いました。


つづく