レオン⇒アーセボ (El Acebo) 94.7km
1998年9月18日(金) 快晴、ほぼ無風
ビールで失態を喫す
アーセボは高山酪農の小さい村。狭い村道は傾斜がきつく、且つ石畳舗道。村のど真ん中でも牛糞で覆われ、石畳はたまに顔を出している程度。千からびたものはいいとして、生々しいものだけは避けるようにして歩くが、自分の両足と自転車の前後輪と計四点に気を付けながら蝿を手で追い払いつつレフジオを探す。
レフジオは村の小さい食堂の主人が経営しており、少し離れた畑地に寝室専用の建物がある。2階建ての山小屋風。今夜は蝿で悩まされるのではと早くから心配していたのであるが、狭い室内に入ると蝿はほとんど居ない。ここでまずホッとする。1階は8ベッドとトイレ、シャワー室、3階は10ベッドが2段式でぎっしりと詰まっている。宿泊客は結局夕遅くに着いたグループを含め計6名の少数であった。途中で出会った幾人かの巡礼者達はどこに今夜の宿を求めたのであろうか。
シャワー浴後、よくこの高山まで登ってきたものだと上機嫌で食堂に向かう。食堂のノレンをくぐり内部に入るとここも蝿は居なくなる。
すぐにジョッキで3杯、日記や絵葉書を書きつつ立て続けに美味しく頂く。そして4杯目を頂いているとグラグラッと体が揺れて吐き気がする。悪酔いだ。すぐに、恥かしきことながら椅子を3ツ並べて横に臥す。動悸にあえぐ。意識も朦朧となる。十数年前の海外出張時の失態を思い出す。
それは言葉の不自由と任務への自信のなさによる不安感をかかえつつの渡航の時でった。伊丹空港を離陸してすぐにヤケ気味にビールを飲む。ところがまだこれからと言う時に胸が苦しくなって座席に座っている事も出来ぬ。幸いな事に、横にカーテンで仕切られた物置がある。そこに、まことに無様な事ながら、スーツ姿のままで転げ込む。後日、気圧が急減する航空機ではアルコールで悪酔いするケースがあると知る。
今回のトラブルは気圧が急減した訳ではないが、高山ゆえの低気圧、それと同様のものであろうか。標高約1300メートル余くらいの高所であるが。しばらく、店主や客の気遣いの言葉をうすうす耳にしながら横に臥す。その後、気分が回復したところで起き上がってフラフラとレフジオへ戻る。夕食は摂り損ねる。
すぐにベッドに向かう。ベッドに腰を下ろしてズボンを脱ごうとした時、両足のふくらはぎ部から大腿部にかけて猛烈なひきつけが生じる。しかもこれまで経験した事のない腰の部分にまで痛みが走る。この時ばかりは下半身全体の異常にこの後どうなるのか頭の中を不吉な思いがかけめぐる。5分ばかり身動き出来ずじっと耐える。
今日の走行距離は100キロ未満であったが、下半身への負担に関しては今旅行で最大であったであろう、何と言っても1500メートルの山を自転車を押して越えたのだから。
レオン (Leon) のYH前
定年欧州自転車旅行 1998.09.18(金) 08:45 晴
レオン (Leon) より30km
「camino de santiago (サンティアゴ巡礼) 」のマークと遠望の山
定年欧州自転車旅行 1998.09.18(金) 10:30 晴、無風
山容の風景 レオン (Leon)の方向
定年欧州自転車旅行 1998.09.18(金) 16:00 晴、無風
山容の風景 レオン (Leon)の方向
定年欧州自転車旅行 1998.09.18(金) 16:30 晴、無風
山容の風景 レオン (Leon)の方向
定年欧州自転車旅行 1998.09.18(金) 17:00 晴、無風
山容の風景 レオン (Leon)の方向
定年欧州自転車旅行 1998.09.18(金)
アーセボ (El Acebo) のレフジオ
定年欧州自転車旅行 1998.09.19(土) 08:10 晴
クレデンシアル (Credencial) で頂いた「巡礼パスポート」
(1998年)