第七章 フランス

 


 

 

【改訂】定年欧州自転車旅行 目次

 

 

 首都:パリ
 言語:フランス語
 人口:5830万人
 国土:551,208平方キロ、日本の約1.5倍
 人口密度:106人/平方キロ、日本の約3分の1


☆憧憬のフランス。花の都パリは避けて、フランスのワイン街道を走る。日本の先人が馬車、鉄道で走ったマルセー ユ ― パリ、そのうちのマルセーユ ― リヨン間を走る。南仏でのブイヤべースの試食も楽しみの1つだが。

 

 

バーデンバーデン⇒ストラスブルグ (Strasbourg) 71.5km
1998年8月8日(土) 快晴、猛暑   8月9日(日) 連泊滞在




 

 

アルザス北部を走る
 何故か、この2、3日自転車のハンドルが異常に重い。アスファルト路面にタイヤが吸い付くようで非常に走りにくい。空気が抜けてきているのかと調べるが空気圧に異常はない。
 昨春、大型バイクの免許取得の練習に前輪タイヤのチビった車に乗った事があるがその時の感触を想い出す。我が自転車はストックホルムよりの走行3400キロでタイヤはそうチビッているわけではないが、こう重いとどこかの自転車屋で更新しなければならぬ。
 ストラスブルグにはYHが二ヶ所あるが、市の東部、ライン河沿いの YHを選ぶ。小生には正解であった。河沿いのベンチに座って憩うがいくら眺めていても飽きが来ない。タンカーや鉱物運搬船に混じり小型ボートも行き来する。その風景の美しいこと、名画を見るが如し。

 独語のライン(Rhein)は仏語ではラン(Rhin)となる。スイスの東部、イタリアに近い所から雪解けの水が流れ始める。このあとボーデン湖を経て西走、スイスの西端バーゼルで90度北上ターン、ドイツを貫流してオランダ、北海へと流れる。全長1320キロ。欧州ではボルガの3690キロ、ドナウの2860キロに次ぐ大河である。
 市街へバスで往復する。バス停で親切な中年男、
「今日も猛暑なのでスペシアル・バスが買える笘。何回乗ってもどこまで乗っても10F (約270円)のキップだ。市民にマイカーをやめて大気汚染の防止に協力してもらうというのがその主旨だ…」
 と英仏チャンポンで説明してくれる。
 この街の目玉は何と言ってもカテドラル(大聖堂)である。ボージュ山から切り出した砂岩で建てられていると本にある。傷みがひどいのか全体に足場を組み立てて修復中である。それでも階段が狭いので人数制限があるが、66メートルの屋上の展望台へ登らせてくれる。そこからの眺望も素晴らしい。ラン河のホプラ並木、ボージュ山脈等が遠望出来る。
 帰路、 バスの窓枠に手を置くと焼け付くように熱い。乗客か少なかったので運転手に、
「今日は猛烈に熱いですね」
 と小生にとっては初の仏語でつぶやくと、
「非常に、非常に熱い」
 と両手をハンドルから離して首をすくめ大きな身振りで返事が返ってきた。
 今夜の夕食は極貧。その上にかなわないのは従業員の躾、態度である。調理室でフザケ合っている男女に質間しても調理台に尻をかけたままの返事で近づいてこようともしない。配膳も粗っぽい。もっと腹が立ったのは、そそくさと食べ終えてラン河へ散歩に出ようと裏庭に出ると、他の宿泊客がまだ食事中というのに料理人が3人、庭のテーブルに自前の、それも豪華なメニューで食事をしている。ご馳走を自分で作るのは勝手だがビールまで飲んでいる。先刻当方が頼んだ時、
「ビールは21時より館内カフェで」
 と断っておきながら自分らだけは勝手にやっているのである。
 実はこのあとフランスには1ケ月間滞在するのであるが、あちこちでいろいろなトラブル、不快事が毎日のごとく発生する。ドイツ以北では1度も経験した事のない種類のもの。今日がその事始めとなる。ここまでお読みいただいた方、不快の念を引き起こしますこと、申し訳なく予めお詫び申し上げます。

 

 

バーデンバーデンのYH前

定年欧州自転車旅行 1998.08.08(土) 9:00 晴

 

 

ストラスブルグ (Strasbourg)の東を望む 大聖堂「カテドラル」の屋上より

定年欧州自転車旅行 1998.08.08(日) 13:30 快晴、猛暑