フォンテーヌ⇒エクサンプロヴァンス(Aix-en-Provence) 84.6km
1998年8月22日(土) 快青  8月23日(日) 連泊滞在

 



 

 

果樹園街道
 清流峡谷に沿って走り出す。右手が渓流、左手が石灰岩山脈。美しい山岳地帯である。
 すぐに展望が開けて一面果樹園畑となる。右も左もリンゴ、桃、ブドウ、メロン畑。そしてカボチャ、ひまわり、トウモロコシ畑も続く。この果樹園や野菜畑を守るためであろうか、防風林と思われる大木樹林が所々に一直線に並ぶ。車はほとんど通らない 。つい、ロ笛が自然と出てくる。素晴らしい道である。
 カヴァイヨンの村をすぎると途端に道の所々にメロン直売店が見える。
 先日来、朝食にはパンを控えている。牛乳やジュースのみにして、道中のこの果物に期待する。メロンは食べ残しが効かないので小振りのものを選ぶ。1コが5~7F (約135~190円)。1コだけで一時的だが満腹する。しばらく走るとポワール、トマト、リンゴなどがまたも美味い。果物様様である。
 カドネ(Cadenet)の小村を過ぎるとカーブ街道となる。カーブ(cave、酒蔵)が所々に、見え隠れする。道路には宣伝と案内の看板があるだけで、建物は道路奥深くに立っているようでよく見えない。何世紀にもわたり受継がれてきたのであろう、由緒有りそうな大手のカーブがこの街道にポツンポツンと並ぶ。
 勿論この周辺一体はブドウ畑である。例によってあの老木じみてしわくちゃだらけの樹幹、しかしその上部には瑞々しい若枝があり珠玉がたわわに実っている。炎天下、雨が一滴も降らず力ラカラ、野菜やトウモロコシは干ばつ被害が出ているというのに。それでブドウ樹は空気中の稀薄な湿気を葉で吸収しているのだろうかとまで想像していた。その上に土地はどう見ても赤土気味で石ころの多いやせ土。
 後日談となるのであるか、99年11月号の「文藝春秋」誌の文春book倶楽部欄に「ブドウ栽培に痩せた土地がいいのはなぜ?」との見出し文が出ている。『ワイン上手―深く味わう人へのアドヴァイス』(田崎真也著、新潮選書)の紹介文である。その中に「…ブドウのルーツはどこか。雨が望ましくない理由や土壌は痩せていることなどの自然環境について…」のくだりがある。ブドウ畑を走るとどうしてもこのことが不思議に感じられ毎回疑問に思っていたものだから小生には実に魅力的な本である。後日の楽しみとする。