=続き=

僕の愛のテープ作りは

深夜2時まで続いた。

出来上がったテープにリボンでも巻きたい気持ちだった。


何か少しでも想いを伝えることはできないか

ルーズリーフにしたためてみる。


「聞いてね」

当たり前だろ。

「感想聞かせてね」

好きな曲じゃなかったらどうすんだ。

「好きです」

そんなこと書けるわけない。


と、


朝になってしまいました。

結局、手紙など付けられるわけもなく。


ギリギリに教室に着く僕よりも、毎朝早く席にいる君。


気持ちとは裏腹に


はい、これ


そっけなく彼女の机にテープを置く。


ありがとう!
帰ったら聞いてみるね!


あい子ちゃんの素直な言葉。

徹夜の疲れが吹き飛んだ気がした。



翌日は休日だった。

感想が聞けない。

いや、感想が聞きたかったわけじゃない。

それをキッカケに

言葉を交わしたかっただけ。





時間とともに、もやもやは膨らむ。

ふと、クラスの名簿を手に取る。


目で探すのは勿論、彼女の名前。


もう君の名前なら活字でさえ好き。

電話番号に目が止まる。


僕は生まれてこの方、女の子の家に電話をかけたことがない。


ゆえに、感覚がまるで分からない。

携帯など影も形もない時代。

ダイヤルはボタンなどではなく、本当のダイヤル。


僕は何度も番号の最後の一つを回せずに

受話器を置いては取ってを繰り返した。



シミュレーションは何度もした。

「聞いた?」
「聞いた」
「そっか」

それだけ。


僕は臆病だと自覚がある。

ただ、勢いさえつけたらやってしまう強靭なバカでもある。


音楽はスゴいと思う。

時には人を勇気付け、時には涙を誘い、時には笑顔をもたらす。


人の心に直線作用するものだと思う。


僕は勇気付けるために曲を聞いた

のではなく


なぜかおセンチに好きな気持ちを盛り上げるために


あの


竹内まりやを聞いていた。

勇気をもらうのではなく


自分の気持ちを溢れさせたんだ。



意を決してダイヤルを回した。


プルルル…


ガチャ


「もしもし?」


電話特有の少し変わって聞こえる声が受話器の向こうから聞こえた。


僕の鼓動は早く


そして強く打った。


=続く=


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