「楽しい時間てあっという間ですね。」
僕はいつも帰りに彼女と電話しているSAまで車を走らせた。ふたりでコーヒーを買い車内で飲みながら時間を潰した。
「また、どこか出かけましょう。楽しかった。ありがとう竜馬さん。」
「こちらこそありかとう。もっと長い時間一緒いられたら…」
彼女と待ち合わせたICまで40分ほどだった。ふたりとも口数が少なくなっていった。ふたりで過ごした時間が夢のような感じがして、ICが近づくにつれ現実に引き戻され夢が醒める感覚を味わっていた。シフトノブに置いていた左手に彼女は自分の右手を伸ばしてきた。
「あの…手繋いでいてもいいですか?運転の邪魔になっちゃうかな…」
僕は黙って彼女を手をぎゅっと握った。
別れの時間が近づいていた。待ち合わせたICに着き彼女はタクシーを待っていた。
「竜馬さん、私…私も相手に離婚したいと言います。竜馬さんは私のために奥さんに話してくれた。私も言います。」
「遼子さん、待ってますって言い方は変ですけど、僕も遼子さんと一緒になりたいから相手に伝え続けて、待ってます。だから…ふたりで歩いて行きたいです。」
僕は彼女を抱き寄せそしてキスをした。彼女も僕にきつく抱きつきながら
「待ってて、竜馬さん。私も竜馬さんと一緒に歩いて行きます。」
と言った。タクシーが到着し彼女は名残惜しそうに僕を見つめていた。
こうして僕たちは共に離婚へ向けて歩みを進めることを約束した。
つづく