偽りの恋

偽りの恋

何が本当で
何が嘘か

目に見えるもの全てが
真実とは限らない

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あっという間にチェックアウトの時間になった。このままずっと彼女を抱きしめていたかったが、17時には彼女は家に帰らなければならなかった。

「楽しい時間てあっという間ですね。」

僕はいつも帰りに彼女と電話しているSAまで車を走らせた。ふたりでコーヒーを買い車内で飲みながら時間を潰した。

「また、どこか出かけましょう。楽しかった。ありがとう竜馬さん。」
「こちらこそありかとう。もっと長い時間一緒いられたら…」

彼女と待ち合わせたICまで40分ほどだった。ふたりとも口数が少なくなっていった。ふたりで過ごした時間が夢のような感じがして、ICが近づくにつれ現実に引き戻され夢が醒める感覚を味わっていた。シフトノブに置いていた左手に彼女は自分の右手を伸ばしてきた。

「あの…手繋いでいてもいいですか?運転の邪魔になっちゃうかな…」

僕は黙って彼女を手をぎゅっと握った。

別れの時間が近づいていた。待ち合わせたICに着き彼女はタクシーを待っていた。

「竜馬さん、私…私も相手に離婚したいと言います。竜馬さんは私のために奥さんに話してくれた。私も言います。」
「遼子さん、待ってますって言い方は変ですけど、僕も遼子さんと一緒になりたいから相手に伝え続けて、待ってます。だから…ふたりで歩いて行きたいです。」

僕は彼女を抱き寄せそしてキスをした。彼女も僕にきつく抱きつきながら

「待ってて、竜馬さん。私も竜馬さんと一緒に歩いて行きます。」

と言った。タクシーが到着し彼女は名残惜しそうに僕を見つめていた。

こうして僕たちは共に離婚へ向けて歩みを進めることを約束した。

つづく