ライム病の体験と治療
2020年3月、ネパールでマダニに咬まれてライム病になりました。ライム病に関しては、いくぶんかの医療情報がネット上にありましたが、経験者の報告は見つけることができませんでした。ということで、そのことを書き残しておこうと思います。
ライム病は思っていたより様々な症状を発現させ、いま現在も完全に治癒したかどうかわかりません。将来的なリスクを残したままです。
それでもライム病だけですんだ(希望的観測)のはまだ運が良く、感染したのがツツガムシ病やSFTSなら、命があぶなかったかもしれません。
発症したときは、ライム病の病原体を持ったマダニに、「運悪く当たっちゃった〜」 という感覚だったのですが、治療開始から2か月以上がたったいまでは、慢性化させたら大変だから、なんとか完全治癒させねばと、ちょっとばかりシリアスです。
一通りの知識はあったのに、ここまで治療が長引くとは思わなかった。こんなに大変
マダニのいる環境とは
平成の終わり頃、日本でも立て続けにマダニに咬まれた人がSFTSという感染症でなくなる事例が続き、マダニの危険性はだいぶ知られるところになりました。
このマダニというのは、俗に草ダニとも呼ばれ、家のホコリの中にいてアレルギー等を起こすダニとはまったく違います。山や森の草や笹藪の中にいて、通る動物や人間に寄生して吸血します。
問題はその吸血過程で、病原体を人間に感染させるということです。
一般の山道やけもの道を歩いているぶんには、それほどやられることはありません。しかし草むらの中に突入すると、かなりの確率でやられます。
でもそれも季節やらいろんなファクターがあるようで、今回はともにジャングルに入った連中がみなやられました。咬まれた場所と日にちはバラバラです。
今回が3月で、前回咬まれたときは9月だったので、一般に初夏から秋と言われるシーズンには一致していますが、熱帯の場合、いつがシーズンかはよくわかりません。
やられる頻度は、ヒルのほうがずっと上です。ヒルは川辺の茂みや湿度の高い所にいて、そばを通る動物の体温を感知して取り付いてきます。それに対してダニの場合は、そういう特殊な場所ではなく、とにかく藪のなかです。
町から近い場所でも、そういうところにガサガサと入り込む犬は、よく何匹ものダニをくっつけて帰ってきます。
ダニに咬まれたときの自覚症状
ヒルもそうですが、ダニに咬まれても自覚症状はありません。これが面倒なところです。
ヒルの場合は、いるのが特殊な場所で、またクネクネと動くのを見つけやすいので、ときどき休憩時間をとっては全身チェックをします。靴下やメッシュの靴を通過して入り込むので、靴下を脱いでみたら足の指の間で血を吸っていたなんてことが珍しくありません。
一方でマダニは、まったくわかりません。まずダニそのものが小さい。人間に取り付く吸血前のマダニは、たいていサイズが2〜4mmしかありません。そして草から人間の体に移って、服のすき間から中に侵入してくるのですが、それを感知するのは不可能です。
私は必ず長袖長ズボン、靴下をはいてトレッキングシューズと、かなり服装には気をつけています。だから現地の連中のように、脇の下や脇腹をやられたことは一度もありません。マダニにやられたのは2度だけ、どちらもズボンの裾から入られました。
前回、ダニは足を登りつめて、足の付け根の内側にいました。今回はひざのちょうど裏側です。ダニは這い上がってくるわけですが、これがまったくわかりません。アリなら、どんなに小さくてもわかるのに、ダニは絶対にわからないんです。
そういう居心地のいい場所に到達したダニは、吸血を始めます。これがまた、チクリともしません。ヒルの場合も何も感じませんが、ヒルは充分に吸血すると、大きく膨らんでポロリと地面に落ちます。一方でダニはその場にとどまり、何日も何日も血を吸って巨大化します。その間、体が離れないように、吸血している口を特殊な成分で動物の体に固着させます。そうなるとひっぱってもはがれず、無理に取ろうとすると口の部分が残ります。
この無症状状態が何日か続くと、ダニの取り付いた部分に、独特の痛みというか、しびれのような感覚が出てきます。今回は「これはもしかして」と気がつきましたが、初めてのときは、南京虫に刺されたところが化膿したかなと思いました。下着姿になるまでチェックできない場所だったので、発見も遅れました。
今回はその痛みが出る前に、咬まれた翌日から妙な倦怠感やら風邪気のような症状が出ました。下痢症状も出て、横になって休んでいました。
これはライム病の感染初期の症状だったのか、ダニのせいか、いまだに不明です。







