シドニーにいると、本当に世界のあらゆる人種が歩いています。
でもトータルで見ると、やたら黒髪が多いんです。
人口比の多い中国人とインド人はもちろんそうだし、黒人系もアラブ系も真っ黒な髪。
日本の黒髪群とは違って、縮れていたり腰下まであったりバラエティに富んでいますけどね。
で、このマルチカルチャーのマルチヘアーに対応するために、いろんな美容院と床屋が溢れています。
白人系美容院は、従業員も白人。だいたい白人の細い髪の毛って、濡らしてハサミで切り揃えるくらいしかやることないのよね。パーマの需要は少なくて、むしろ縮毛矯正だし、あとは派手なヘアカラーと、盛りまくりのブローが中心です。
でもって高いから、我々アジア人は行きません。
同じアジアの中国系美容院は、近所にウジャウジャあります。何件かに入ってみたんだけれど、英語が不自由なスタッフが多いし、向こうも相手が中国人じゃないと、なんか引くのよ。フレンドリーじゃなくて、入ってすぐUターンです。
というわけで、現在私は日系美容院に通っています。日系美容院は、ワーホリ美容師が多くて、すべて日本語の世界。安心して任せられるし、彼女彼らの海外生活体験話が興味深くて、わざわざシティまで行っています。
美容院の場合は、かように棲み分けがされていますが、面白いのが床屋です。ブラジルとかトルコとかレバノンとか、ストレートに国名を掲げている所が多いのよ。
いずれも黒髪国です。ブラジルはちょっと黒人の血が入っているし、レバノンはアラブ系だし、トルコはイスラム教の国だからかなあ。ヒゲの手入れが関係しているのかもしれません。
でもって、従業員だけでなく、客もみんなそっち系なので、流れている音楽もそっち。なかなか楽しそうなことになっています。
私の息子は剛多毛です。普通なら、ツーブロックにしてトップを長めにし、ヘアワックス等で整えればなんとかなります。でも彼の場合は、職業的に匂いのついたワックスや整髪剤が使えないのよね。というわけで、長年ダサいイガグリ頭をしておりました。
その彼に、ケアンズの日本人美容師が言ったひとこと。
「シドニーに行ったら、そっち系の床屋に行けば? 彼らの方がバリカン使いがうまくて、めっちゃシャープに仕上げるのよ。日本人美容師には真似できないわ」
そしてシドニーに移って、ブラジル系の床屋に行った息子。驚くほど、シャキーンとして帰ってきました。なんというか、若き日の高倉健というか、寿司屋の板前というか、とにかく硬派の匂いのする男前のヘア。
秋葉原をうろつく中国人みたいだったイガグリ頭が、お見事にトラディショナル日本男子に変身しておりました。
ほんとだね。日本人美容師は、ハサミ一丁で毛の流れを作ってお見事だけど、こういうヘアはできないね。
しかし一方で、気になることもあります。突然来た扁平な顔のアジア人を、ブラジル系はどう思ったでしょうね。
そしてムンムンと男らしさをアピールする彼らの目に、化粧したKポップ歌手や、胸板薄い日本人男はどう映るのか。
マルチカルチャーとか多様性社会とか、言葉にすると面倒そうだけど、現実は選択肢の多い、なかなか楽しい社会であります。



