平成17年7月から平成21年8月まで、縁あって司法書士事務所に勤務していました。
先生は司法書士の他に、土地家屋調査士としても仕事をしていました。
私は損害保険会社(生命保険子会社への出向を含む)で約15年、その後派遣会社で約半年勤務した後だったので、法律関係は全く分かりませんでした。
仕事と言えば、戸籍謄本や住民票、土地の権利関係の書類を取得したり、顧客のところへ書類を届けに行ったり、手続きに必要な書類を貰いに行ったりしていました。
登記申請書などの書類作りなども教わりましたが、後に他の司法書士事務所から移籍してきた方がやるようになったので、私の仕事は事務所と役所(または顧客)の往復に。
運転免許を持っていたこともあり、車を運転して、隣県の法務局まで書類を貰いに行ったこともありました。
ある日突然、司法書士から「あんたの代わりはいくらでもいるから」と言われ、事務所をクビになったのが平成21年8月下旬。
私は前年に結婚したばかりで、内心「いきなり何をいい出すのか。」と思ったものの、先生との関係も入所当時から比べるとかなり悪くなっていたので、事務所都合での退職扱いにしてもらうことを条件に、月末で退職。
辞めた数日後、ハローワークへ行こうと原付バイクで道路を走っていたら、私が運転していた事務所の車には、知らない女性が乗っていました。
赤信号で向こうもこちらも止まったので、よっぽど車に近づいていって、その女性に先生のことを教えてやろうかと思いましたが、そんな先生に使われる彼女が気の毒に思えて、ぐっとこらえました。
それから約10年経った今年。
たまたま主人との雑談で、先生の年齢を聞かれたのですが、忘れていたので、ネットで名前を検索したら、司法書士法、同法施行規則並びに宮城県司法書士会会則に違反したということで、2年間の業務停止処分を受けていたことを知りました。
処分を受けたのは去年8月。
処分を受けた理由は以下の通り。
1.被処分者(今回処分を受けた司法書士のこと)は、2010年から2014年までの間、債務整理業務で、簡裁訴訟代理など関係業務の範囲外であることを認識しながら、過払金返還請求事件2286件のうち766件について、引き直し計算後の過払金元金が140万円を超える事件を取り扱い、裁判外での和解を成立させた。
2.被処分者は、債務整理業務について、非司法書士(司法書士の資格を持っていない人)である人間に、あらかじめ受任者欄に被処分者の名前を記載し、委任者や報酬額が空欄の委任契約書並びに委任状をあらかじめ渡して、委任者への委任契約の内容などの説明を行わせた。更には、依頼者に委任契約書及び委任状に署名捺印させ、委任契約締結を行わせた。
ちょっと難しいですが、弁護士資格がないと出来ない業務を行い、無資格者に司法書士の業務をやらせた、ということ。
取扱件数が多いこと、反復継続的に違反したことが、「司法書士としての品位を欠くばかりか、業務に関する法令並びに実務に精通していないといわざるを得ず、司法書士及び簡裁訴訟代理等関係業務に関する国民の信頼を著しく失墜させたものであり、その責任は極めて重大である」、との記載がある懲戒処分書が、インターネットで見られるようになっていました。
これを見つけた時、思わず「ざまぁみろ」と言ってしまいました。
2年間の業務停止と言うことで、宮城県司法書士会の会員名簿から名前は削除。
司法書士会に登録しないと司法書士の仕事は出来ませんから、このまま廃業になってもおかしくないです(確か、年齢的にも70才前後だろうと思いますので)。
ただ、先生は土地家屋調査士の資格がありますから、そちらの仕事は出来ます。
ですが、司法書士の仕事が出来ないということを、周りの司法書士や土地家屋調査士は知っているでしょうから、肩身の狭い思いをすることでしょう。
懇意にしていた顧客もいたでしょうが、離れていっても仕方ないですね。
国家資格を悪用して痛い目にあった人の話でした。