ストレプトカーバスサクソルム

そっとのせた 

ひとさじの透明 

朝露のように静かで 

言葉を持たない優しさが

 肌の上に広がっていく

 

こすらない 

押しつけない 

ただ、手のひらで包むだけ

 

それはまるで 

風が羽根を撫でるように 

月が水面に触れるように

 

肌が「ありがとう」と 

小さく呼吸する 

その音を、私は聞いた

(スキンケアの感触)

灰の空に
ひとすじの音が跳ねる

羽根の予兆

風はまだ名を持たない

 

胸の奥に

弦の残響がひそむ

揺れる花びら

旅立ちはまだ

誰にも告げられていない

 

名もなき風が

花の間をすり抜ける

羽根はまだ

地を離れることを

ためらっている

 

羽根がふるえ

ひととき空を見上げる

灰の帳を裂いて

ひとすじの風が

名を告げた

 

風は胸を貫き

羽根は迷いを脱ぎ捨てる

光の粒が

道を描きはじめた

 

誰にも見えない空路

それでも確かに

私の中で

始まり

終わりのない残響が

刻まれる

 
 
ーこの詩は、胸中に咲いた羽根の記憶。
 風が名を持つとき、旅は静かに始まる。ー