弱り目に祟り目に黒いダウンの天使
2月に入ってから、突然立って歩けなくなった老母の介護に、
実家と家との往復の日々。
ひかも、JRがしょっちゅう「人身事故」だの「線路内点検」だの何だのと
止まる止まる。
片道3時間なんて日もある。
一番大変なのが、同居している兄で、
母のトイレにつきそうために、夜中もろくに熟睡できない。
姉と私は相談して都合をつけあって介護に通っている。(1週間のうち5日)
大好きな太極拳へも行けず。
自分の家の家事は手付かずのまま溜まるので、
フリーの日に一挙にあれこれ片付ける。
で、先日、
自分の家のキッチンを掃除し、
ゴミ袋を交換しようとしたとき、
新しいビニール袋がはらりと手元から落ちた。
おっと!
ビニールが床に落ちる前に蹴り上げて取り直そうと
私はひょいと片足を振った
その時、
ビニールを蹴る前にキッチンの足元の棚の出っ張りをしたたか蹴りつけてしまった。
ぐぎっ!
見ると、右足小指が外側に30度ほど曲がっている?
慌てて真っ直ぐになるよう小指を引っ張った瞬間
ボキポキパキって音がするじゃないww。いやーん。
以前足の親指の上に電気ポットを落して骨にヒビが入ったことがあったが、
あれより痛い……。
昔、滑りこむように転んで、右手小指が外側に90度曲がったことがあるが、
それと同じ位痛い……。
骨折だった。
このクソ忙しいのに、骨折とは……。
痛いし、不便で仕方なし。
なにより満員電車が怖い。
ちょっと触れられただけで痛いんだもの。
ラッシュアワーは避けたいけれど、
母が早く来てくれとSOSが鳴り止まないので、
意を決して満員電車に乗らざるをえない。
とにかく牛歩で前進はできるので、時間をかければ移動は出来る。
しかし、どやどやと通勤の殺気だった人の波の中では
なんともお邪魔な存在ではある。
埼玉県エリア、東京エリアでは、後ろからぶつかってくる人が多い。
横浜エリアではぶつかっては来ないが、やたらじろじろ見られる。
なかなか辛い電車通いである。
が、
先日、満員の電車に乗ったとき、(埼玉エリア)
私の次に乗り込んできた女性は、
普通は背中を向けて前の人を電車の奥へ押し込むように乗ってくるのだが、
その人は、
私の方を向いて乗ってきて、
彼女の背後から乗り込んでくる人々を背中で受け止めるように私の前に立った。
そして、発車し始めた電車の揺れに踏ん張りかねてちょっと横に倒れかけた私の肩に
彼女はそっと手を掛けてくれた。
無言のまま、「大丈夫?」とその目は言っていた。
見ると、電車の揺れに合わせてのしかかってくる男性たちの重みを彼女はその背でがしっと受け止めて、私の方に掛らないようにしてくれているではないか。
私と彼女の間にはささやかながらも空間が出来るようにして、私の骨折した足を周りの他の人がうっかり踏まないように空間を作ってくれていたのであった。
最初、変わった立ち方をするな?と思ったのだが、
それは彼女の心配りだったのだ。
なんとありがたいことか!
なんと優しい人なんだろう!
これ見よがしに背後から荷物や体をぶつけて追い抜いていく人が多い中で、
彼女は天使だった。
顔はむしろちょっとむっとしたような怖い表情だったが、
それは華奢な体ながら満員電車の圧迫をその背で受け止めて押し負かされないように力いっぱい踏ん張っていてくれたからなのだった。
元気でもしんどい満員電車で、
朝っぱらから余計な力を使わせてしまって
申し訳ないやらありがたいやら。(つД`)ノ
ありがとう! 黒いダウンジャケットのあなた。
あなたに素敵なことが、ハッピーなことがたくさんありますように!!!!!(。-人-。)
で、私はというと、
骨折からほぼ1週間経たんとするとき、
料理中に盛り付けていた皿が落ちそうになり、
またもうっかり右足が出て、
――落ちるものは何でもつい右足で受け止めようとするのね。(///∇//)
一ヶ月、風呂にも入っちゃいかん!動かしちゃいかん!
と言われていた右足の小指をまたもグギ! とやってしまった。
ズキンズキンチリチリ痛いのが治まらなくなっちゃったぞぃ。
キッチンが狭いからいかんのか。
私の右足がお転婆すぎるのか。
京浜東北線の天使に報いるためにも
早く治さねば!と思う。
しかし、1ヶ月も足を洗わない……って、したことがないのだけど、
耐えられるだろうか……。
私、どんなに臭い人間になっちゃうのか…………と心配なり。
(でも、結局ギプスを嵌められたわけではないので、多少洗ってもいいかな?)