2001年夫婦世界旅行のつづきです。8月半ば。バルセロナ5日目。火曜日。猛暑の1日が始まりました。




part247 かさばっとるよ、カサ・バトリョ




要約: 今日は“観光の日”と決めて、まずガウディのデザインしたアパート、カサ・バトリョを見学に行った。が、中には入れず、絵葉書で見た面白い屋根も見られずじまい。期待はずれですぐに引き返したのであったが……。











今日は昨日ぐったりしていた夫も少しは楽になったようで、ゆるゆると観光に繰り出すことにした。音譜




まずは、カサ・バトリョCasa Batlló )というガウディ作のアパートを見に行ってみた。ビル





(注: ガイドブックでは「バトリョ」となっているが、なぜか我々は現地で「バティリョ」で通じていた。「発音の悪いなぁ~。バトリョだろ?」と、察してもらっていたのだろうか。)




カサ・バトリョは、正確に言えば「ガウディのデザインで改修された住宅」らしい。1904~1906。2年もかけて改修している! さもあらん。凝りに凝っている。 キラキラ





屋根は、子供が描いた絵のように不規則に自由にくねって歪んで突き出ている。どんな直線も平面も許さない! って感じだ。それなのに、屋根瓦はどれも同じ正方形で一枚一枚きっちりと隙間なく並んでいる。




その歪んだ山のような屋根のすぐ手前には、裾を一つに摘んで干したチョーチンブルマーのような形をした先端を持つ塔(?)。(あるいは小龍包をつまみ上げたような……と言うべきか?) 




さらに奥の方には、大怪獣が使うような爪楊枝8本、(あるいは恐竜が使う櫛の歯8本?)に1本1本指輪を嵌めさせたような、煙突の振りをした突起(?)。





壁には色とりどりの細かいガラスやタイルがびっしりと貼り付けられていて、庇(ひさし)などはなく、壁と屋根の境目には瓦よりも大きな三角チョコがとろけてくっついている(?)。




もう言葉による説明を許さないデザインだ。「アンデルセンの童話のような建物」と形容されるのが常らしいが、まったくその通り。王冠2




あまりに非現実的、非機能的に見えて、恐ろしいほど愉快だ。晴れ




そんな写真を絵葉書で見かけて、一目みたいと思っていたのだ。が、残念ながら、行ってみると建物の中には入れず、肝心な屋根の辺りも近くからでは全然わからない。ガーン




通りに立って外から見ている限りでは、タイルをめちゃくちゃに貼り付けた、ちょっと、いや、甚だ変わった建築物という程度だ。




絵葉書の方がよほど楽しめた。期待はずれなり。ショック!




ガウディのデザインによる建物はホテルとかアパートとか公園とか、人々の生活に密着して使用される建築物が多い。カサ・ミラCasa Milà などは一部博物館になり、アパートの一角は見学用に開放されているが、今も人が住居として利用しているらしい。ただの遺物としてではなく、現在に人々の生活とともに活きている建築物ってすごいね。と感動。ドキドキ





だから、このカサ・バトリョも中に入れると思ったのに、残念だ。しかし、中に人が住んでいるのであれば、住民にしてみれば観光客にガシャガシャアパートの中を徘徊されたくないよね。しかたない。……。




後記: やっぱりすごい、カサ・バトリョ!




このときはカサ・バトリョCasa Batlló)に妙にがっかりして、早々に記念写真だけ撮って退散したのだが、帰国してから改めて写真を見たら、随分と印象が違うので驚いた。やっぱりすごいのだ。ラブラブ





建物の正面1階は数本の太目の白い柱で、背の高い細めのアーチが幾つも描かれいるのだが、その柱はまるで巨大な獣の骨のようなのだ。そしてその骨の奥に青緑色の窓や壁が守られて見える。




さらに階上の壁は白いタイルに、緑や青を主にした色とりどりのタイルが咲き乱れた花のように埋め込まれて見える。




青緑色の小さな四角い窓には、“獣の頭蓋骨の目の辺り”を利用したような小さなバルコニー(?)の欄干が設えてある。




頭蓋骨の目の部分を思わせるような二つの穴にはさらに細い骨のような柵がはめ込まれ(彫り込まれ?)ている。バルコニーの底面は蓮の葉っぱを半分にしたような形。窓枠以外に直線というものがないと言っても過言ではないだろう。




下から見上げると窓ごとに頭蓋骨がはめ込まれているというか、骨でできた仮面を被っているというか、建物が骨で変装しているようにも見える。




つまり、全体、白い巨大な獣の骨で守られた青緑色のアパートという感じ。 その獣の骨の、多分肋骨だか大腿骨だか(?)の隙間から青緑色のアパートが見えるという感じ?




もしかしたら、ガウディは牛の骨をイメージしていたのではないかしら。滑らかな曲線。節々の厚み。1階のアーチ柱の部分の象牙色。上層階の日が当たっている部分はベージュ色っぽいのに真っ白く見える。まさしく獣の骨の色としか説明の仕様がない。




実に奇妙な建物である。写真にした方が、細かいところまでよく観察できるので、ガウディの桁違いな意匠が分かる……ということだろうか。




それにしても、このカサ・バトリョに住んでいる人は、四六時中童話の世界に住んでいるように感じるのではないだろうか。やはり内装も気になるところだ。もっと落ち着いて見てくればよかった……。しょぼん


つづく


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