フランスへ帰ってやっと落ち着いてきました。以前に書いたオーディション番組nouvelle starにも、目を輝かせています。週は進んで、昨日で5人になりました。私は、JulienとJulieのふたりが”ごひいきさん”です。
きのう出演を終えたのは、raphaelleという女の子。私にはちょっとよくわからない人でした。けっこう人気が高かったようですが、昨日は、ずれたり歌詞を忘れたり、残念な事が続いたせいか、視聴者投票が一番少なかった、ということになりました。
きのう彼女が歌ったのはQue reste-t-ilというシャルル・トレネの曲。トレネは、フランスの国民的大歌手です。(長生きして、数年前になくなりました。)この曲は、枯葉と同じくジャズのスタンダードとしても数えられるナンバーで、英語では"I wish you love"という、愛らしい歌になっています。
オリジナルではフランス語の詞の内容はさびしい(と思う)のですが、そのままの内容でトレネは速いテンポのスイングとして軽快に歌い、結果としては楽しい感じです。
ラファエルが歌ったときは、バラード風超スローテンポ。スイングはしていますが、とにかくとてもローテンポでした。二つ目のフレーズにはいるとき、休むべきところを、彼女は仏語でも英語でも、2回とも飛ばしてすぐ歌ってしまったのです。ただそこで、ずれたまま歌うようなことはなく、楽器を待って後からつじつまを合わせたあたりは、さすがに歌の先生の冷静さを見せてくれました。でも、英語詞がごっちゃになったのと、同じ間違いを繰り返してしまったのは、やはり動揺したからなのかも知れません。
しかし、テンポが遅いだけで、はずすものだろうか?・・・そのとき思い出したのは、彼女の一番初めのオーディションでした。彼女はヌガロの「アームストロング」という曲を歌ったのです。ヌガロは、完全にフレンチジャズの代表者。「アームストロング」は、もと歌が何か忘れてしまいましたが、ニグロスピリチュエルの曲にフランス語の歌詞をつけたものです。
ジャズは普通”裏拍”をとります。1,2,3,4拍とあったなら、2と4を感じます。クラシックであればたいてい1、3の強拍をとります。もちろn本来どのジャンルでも、拍は感じているべきですが、強拍がとれるからといって、同じ人がカンタンにうら拍を感じて音楽ができるかというと、そうでもないのです。
ラファエルは、指をならしながらアームストロングを歌い始めましたが、惜しいかな、それは強拍で、それをすぐ指摘されました。審査員の中にジャズにも強いプロドラマー、マニュ・カッチェがいるのです。
でも、ラファエルは、フォークソングという素敵な魅力を持っており、それがテレビ出演までつながりました。残念ながら、その後は、そのフォークの魅力はどこかへ行ってしまいました。選曲にもよりますが、ただの歌のうまい人、表現もうまい人、という感じになってしまうことが多かったのです。もちろんフォークの雰囲気を生かして歌える歌が多いわけではありません。「その声・表現なら、もう聞いたことがあるよ」というのが口癖の審査員もいます。この審査員たちは、新しい「個性」を求めているのです。ラファエルの最初の失敗がフレンチジャズ、最後の不満もフレンチジャズ。・・・・・・
言葉が変わるだけで、ジャズの音楽的な基本にかわりはありません。(ニホンゴになったらちょっとわかりませんが・・・)原語の系統としても、フランスはラテン語系、英語はゲルマン系、という違う流れですが、ジャズとなると、その魅力は同等。
トレネ(の一部の曲)、ヌガロ、アンリ・サルヴァドール、ミッシェル・ルグラン・・・
フレンチジャズの大御所はおおよそもう亡くなった人とご年配の方々ですが、フランス語で歌うジャズはとっても素敵です。英語で歌うのとは言葉の処理が違ってきます。歌のアンサンブルの場合、フランス語はなかなかジャズに向いているじゃないか、と、強く感じますし、すでにある即興演奏にあとから言葉をつけたものなどは、英語よりフランス語の方が音楽に合っていると思います。
シャンソンの魅力とジャズのスイングのいいとこどり、よくばりなフレンチジャズは、歌っていてもとても楽しいレパートリーです。
M6のオーディション参加者の歌のクリップが見られます。http://www.musicbrigade.com/Templates/xform____14432.aspx
シャンソンQue reste-t-ilについてもう少し知りたい方はhttp://zakkayamusique.hp.infoseek.co.jp/ コンサートよりお入りください。