ノルマンディー地方を旅して4日目はちょうど8月15日。

平和を改めて考える機会として、カンにある平和記念館を訪れました。

 

写真だと見えづらいですが、建物の表面に言葉が書いてありました。

LA DOULEUR M’A BRISEE, 

LA FRATERNITE M’A RELEVEE

「苦しみがわたしを打ちのめした

兄弟愛がわたしを再び立ち上がらせた」

 

 

DE MA BLESSURE A JAILLI 

UN FLEUVE DE LIBERTE

「わたしの傷口から自由の川が湧き出た」

 

戦争の関連の資料館には、日本でももちろん何度か訪れていますが、

いつもわりとひっそりとしたイメージです。

しかしこちらの平和記念館のエントランスは

このように明るい雰囲気で、案内板なども鮮やかな色。

なんだか大型の映画館のようなので

最初はびっくりしました。

 

 

そして、なんと無料の託児所がありました。

この施設の見学は、きっちり見るなら所要時間2時間と聞いていて、

子どもには耐えられるかどうか不安だったので助かりました。

子どもは、豊富なおもちゃを見るなり嬉しそうに入っていき、

すんなりほかの子や保育士さんにも慣れたので、

大人だけで展示を見に行くことができました。

 

 

最初に見た展示は、ノルマンディー上陸作戦に関するコーナーでした。

 

 

連合軍上陸の際の進路などを説明する模型がありました。

手前がイギリスで、奥がフランスのノルマンディー。

 

作戦の様子を映像で記録したものが上映されていました。

爆撃の音のなか、長い浜辺を進んでいく無数の兵士たち。

フランスの解放のために、決死の覚悟で戦いに向かう姿は勇敢だけれど

見ていてとてもつらい気持ちになりました。

この作戦の際に何千人という兵士たちが命を落としたのですから。

 

歴史をすこしさかのぼり、

第一次世界大戦の戦時中の写真などを展示するコーナーもありました。

 

それにしても、本当に多くの人がこの施設を訪れていて、

ここは通路が少し狭いこともあり、なかなか前に進めないほどでした。

世代も様々。

若い人たち同士でも来ていたし、親と一緒の十代くらいの子たちもいました。

歴史から学ぼうとする、平和への関心の高さをひしひしと感じる光景でした。

 

日本の戦争についても少し紹介されていました。

平和を祈る気持ちに国籍は関係なく、

戦争で多くの人の命が奪われてしまうことはあってほしくない、

と強く思った施設見学でした。

 

このあと訪れたのが、

連合軍の上陸地の一つ「オマハビーチ」を臨むアメリカ人兵士の墓地です。

 

ここもヨーロッパ各国やアメリカ、色んなところから沢山の人たちが来ていて、

駐車場は満車に近いほどいっぱいでした。

(あとで世界の名所などに詳しい人から聞いて知ったのですが、

ここはフランス国内で外国人の訪問が最も多い場所なんだそうです。)

 

 

 

浜辺を見ながら墓地へ向います。

今はとても静かで美しい浜辺です。

 

 

そして目の前に広がる、無数の十字架。

こんなにたくさん…。このほとんどがノルマンディー上陸作戦で命を落とした兵士たちのお墓だそうです。

実際目にすると、胸がしめつけられるようでした。

 

そうとは知らない子どもは広い芝生に喜び、走り回りました。

ほかの子どもも同じように走り回っていました。

ある意味平和な光景です。

1944年のこの場所に、走り回る子どもの姿なんてなかったはずですから。

 

わたしは子どもにここがどういう場所なのか説明しましたが、

彼はまだ3歳。わかってはいないと思います。

 

でも今後、現像した写真を見せたり、

この場所についてだけでなく

色々な平和についての話を子どもにしていこうと思っています。

 

 

今回のノルマンディー地方の旅。

美しい風景や、かわいらしいリンゴの木、美味しいシードルやガレット…。

そんなのどかなノルマンディーの歴史の一面として戦争のことも知っておきたい、

とカンの街を歩いたり、この記事の施設見学をしたりして

本当によかったと思いました。

 

 

そんな気持ちを胸に、このあとはモンサンミッシェルへ向いました。

 

(4年前、南仏にあるユダヤ人収容所跡を訪ねたときのブログはこちらです)