ノルマンディー地方を旅して3日目、

シードル街道沿いにある小さくて可愛い村を訪ねました。

Beuvron-en-Auge、ブーヴロン・アン・オージュです。

 

「フランスの最も美しい村(※)」のひとつに選定されています。

人口はおよそ200人。

この地方伝統の木組みの家、コロンバージュ様式の家が昔のままにのこる、小さくて愛らしい村です。

 

どの家も窓辺には美しい花が競い合うように咲いていました。

 

 

村に入って、まず気になったのが小さな工房でした。

なんの工房なんだろう?

と覗いてみると、陶芸の工房。

こちらの、エリックさんという男性が奥様と作る陶器が沢山。

「小さな村だから、バカンス中は観光客の方が住民より多いよ。」と笑っていました。

 

私がこちらで購入したのは、カルヴァドスを飲むためにエリックさんが作った小さなおちょこのようなもの。

(↑この写真は帰国後に自宅で撮りました)

お店でパッと見たとき、それこそ日本酒を飲むおちょこのようで、

家で使いたいなあ!と思ったのです。

 

話を聞くと、

エリックさんのおじいさんの時代のカルヴァドスは

現在のものよりもかなりアルコール度数が高くて70度くらいはあったそう!

それでカルヴァドスを飲むには小さなグラスでちょびっとずつ飲む習慣があるが、

自分は従来のものよりも、少しだけ背の高い器が欲しくて作った、

と言っていました。

 

今、この記事を書きながら、この器でカルヴァドスを飲んでいます。

(ちなみに、エリックさんはカルヴァドスのことをカルヴァ、と略して話していました)

ひとつ3ユーロ。いいお買い物でした!

 

 

さて、この工房のお隣が市役所。そして市役所の裏が観光案内所だったので行ってみました。

 

中にはこの村の中心的な生産物であるシードルやカルヴァドスのボトルが展示されていました。

 

様々な種類のりんごの写真も!

 

受付にいた女性に、「村の地図をください。」というと、

返ってきた答えは「地図は必要ないわ。」と笑

「小さな村だから、地図がなくても十分です。一本道を少し行ったところまでが村ですから。」

なるほど〜。

 

とはいえ、ちょっとした地図はありましたので、もらってきました。

 

村が広がる一本道!こんな可愛い村のお散歩はとても楽しいもの。

 

こちらはクレープ屋さん。

 

そしてこちらは生活雑貨屋さん。

村のどこを切り取っても背景が素敵!

 

一本道を北に向かって少し歩くとピアノ演奏が聞こえてきました。

ピアフの「愛の讃歌」です。

なんだろう?スピーカーから聞こえてくるの?

いえ、窓が大きく開け放たれたこの家から聞こえてきました。

ドラムセットもある!

コンサートかなにか?と最初は思ったのですが、

このお隣のお部屋で、丸い大きな体のかわいらしいおじいさんが一人でピアノを演奏していて、

窓辺におばあさんが一人、座って聞いていました。

この部屋もやっぱり窓が開けてあって、どうぞ聞いてください!といわんばかりだったので笑

よそ様のお宅ですが、遠慮なく窓の前に立ち、聞き入ってしまいました。

演奏が終わり拍手すると、おじいさんと目があってにっこり笑ってくれました!

 

そしてまたすぐ次の曲が。次もピアフで「バラ色の人生」でした。

力強いピアノの音が村いっぱいに響いて、足をとめて観光客が聞きほれていましたよ。素敵だったなあ。

 

それにしても本当に小さい村で、30分もすればだいたい通りのお店は見ることができました。

ちょっとこちらのバールで休憩です。一本道の一番南にあります。

店先の赤いチェアで休みました。

日差しが強いなか歩いたのでのどがカラカラ。

やっぱりこんなときはシードルです。

微炭酸、リンゴの香り、最高です。

今回の旅でシードルがまたさらに好きになりました。

 

次の街へ向かう前にそろそろランチをしようと、

村の中心に戻って入ったお店はこちら。

お肉料理のお店です。

 

私はこちらで「トリップの煮込みカン風」をいただきました。

牛の胃袋、日本ではイタリア語の呼び方であるトリッパの方が聞き慣れていませんか?

カンはブーヴロン・アン・オージュから近い、

バス・ノルマンディー地方の主要都市です。

カンはトリップが有名なのですね。旅行前にリサーチしていなかったので

へえ〜と思いました。

ちなみにカルヴァドスで煮込んでいるそうですよ!

 

だしがよく出て、あっさりしていて、あったかくて、

しみじみと美味しかった〜〜。

まるで居酒屋で牛モツの味噌煮込みを食べたときのように、胃袋が幸せになりました!

 

さて、このあとは、このトリップが有名なカンに向かいました。

 

ノルマンディー・ブルターニュ地方の旅行記事、

まだまだ続きます。

おつきあいくださいませ!笑

ここまで4記事、読んでくださってありがとうございます。

 

 

(※)フランスの最も美しい村=1982年に発足した「フランスの最も美しい村協会」が厳密な基準のもとに選定・公認するもの。

クオリティの高い遺産が多く残る、『フランスの田舎の小さな村』の異なる歴史遺産の価値の向上、歴史遺産の保護、そして観光に関連した経済活動の促進を目的としているそうです。

2017年5月現在で、156村が選定されています。