今月19日、20日、そして今日23日、
第二回囲碁電王戦三番勝負が行われ、
趙治勲名誉名人と囲碁コンピューターソフトZen(DeepZenGo)が直接対決。
人工知能と人間の対決に、たくさんの注目が集まりましたね。
 
結果は、、
第1局が趙名誉名人の中押し勝ち、
第2局がDeepZenGoの中押し勝ち、
そして第3局は趙名誉名人の中押し勝ち。
 
趙名誉名人、つまり人間の二勝一敗となりました。 
 
 
私は今日、終局後の記者会見で司会を務めることになっていたので、
対局中、解説のスタジオで井山裕太六冠と吉原由香里六段の解説をお聞きしていました。
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(写真は終局後)
 
 
終盤近く黒番の趙名誉名人を持っていた井山六冠が地合いの計算をしていましたが
やはりプロの、しかも第一線の方が計算するにしても複雑なのだなあ、囲碁の形勢判断は改めて難しいなあと思いました。
 
そんな中でも、DeepZenGoは自分に有利な楽観的な形勢判断をしていましたが、
井山六冠は「タイトル戦では、とくに七番勝負の二日目の夕刻などは疲れていてミスが出やすいので、自分が有利と思うと危ない。良さそうな時でも、そんなに良くないと思うようにしている」と話され、
人工知能と人間の考え方は正反対なのだな、と思いました。
 
 
井山六冠はこうした解説として番組に出演するのは初めてとのことで(いつも解説される側ですものね)、
貴重な現場に居合わせていただいたことが幸運でした。
由香里先生とのかけあいがとても楽しかったです(^^)
 
 
そうこうしているうち、167手でDeepZenGoが突然の投了。
 
終局直後の趙名誉名人のインタビューで、
「僕は機械を相手に負けたら嫌だとか恥ずかしいとかは一切思わなかった」
「人間と打っているような気持ちだった」
「こんなにコンピューターを強くしてくれて、感謝。これを使って棋士ももっと勉強ができる」というお言葉がありました。
 
会見でも、インタビュー全体をとおしてとてもまっすぐな言葉で語られていて
とても楽しみに三番勝負に臨まれたことや、
これからのコンピューター、人工知能の進化に期待をされていることが伝わりました。
 
そして、報道の方々のご質問を聞いていますと、
人工知能と人間の共存に関するものが多いのが印象的でした。
 
開発者の加藤英樹氏がおっしゃっていた、
「AIは人間でいう大脳の働きが欠けている、
それは柔軟性というもの」というお言葉も
とても興味深いものでした。
 
 
これから人工知能がどのように発達し、
どんな未来を切り開くのか、注目したいと思いました。