渡部昇一さんがご逝去されました。
安倍総理は18日、のフェイスブックにコメントを掲載。
「批判を恐れず日本のマスコミの付和雷同に挑戦し続けてこられた。先生の勇気ある言論活動に改めて心から敬意を表したい」
渡部昇一さんは、膨大な著書と数々の論争で、多くの読者に、戦後の日本を長い間覆ってきた「東京裁判史観」について疑問を持つ機会与えてくださった方でした。
本当のことがわかる昭和史
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から引用します。
p17
一般にはあまり知られてこなかったことであるが、終戦直後に、七千点を超える書籍が「宣伝用刊行物」と指定されて禁書とされ、GHQの手で秘密裏に没収されている。その状況については、現在、西尾幹二氏が著作を発表されておられる。また、当時の日本人の多くが気づかないうちに、戦後のメディア報道はきわめて厳重に検閲され、コントロールされていた。そのことについては、江藤淳氏の労作をはじめ、様々な研究がなされている。(中略)
そのような状況下で「歴史観」がつくられていくと、実際に体験した人の「記憶」も巧妙に書き換えられていくのである。なぜなら、全体を見渡せるような立場にいた人は少ないからだ。
(引用ここまで)
東京裁判で隠された史料から「満洲は日本の侵略ではない」を明らかに
2006年の月刊WiLL創刊号に掲載された渡部昇一さんの論文より引用します。
戦後日本における中国の問題は、満洲国に対する見方、すなわち「満洲国は日本が中国を侵略してつくった」という見方ですが、そこに端を発していると思います。
そもそも日本の国際連盟脱退も満洲問題が原因です。満洲問題自体が起こったのは、国際連盟が満洲国という国を理解でぎなかったことによるものであり、特にアメリカは理解しようとさえもしませんでした。イギリス人であるリットン卿は理解できないまでも、満洲事変は侵略とは簡単に言えないと言っているんです。
アメリカなどは、日本がシナを侵略しているという立場をとりましたが、満洲に関して一番正しい見方をしていたのは、イギリス人のレジナルド・ジョンストン卿です。
ジョンストン(左)と婉容(前)、イザベル・イングラム
彼は溥儀の教師であり、後に香港大学の教授やロンドン大学の東方研究所所長にもなった人物で、当時第一級の支那学者です。
清朝にずっと仕えていたので、内部事情にも非常に精通していました。満洲国建国の経緯や溥儀自身の意思も彼はよく知っていました。ですから溥儀が父祖の地である満洲に戻って、そこの皇帝になったことをとても喜んだ。そうして『紫禁城の黄昏』という天下の名著を書いたんです。
完訳 紫禁城の黄昏(上) (祥伝社黄金文庫)
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この本は東京裁判の時に、日本の弁護団が証拠として使おうと、証拠物件申請をしたんですが却下されました。理由は至極簡単で、この本がジョンストンという学者であり第一級の証言者が著した、ウソ偽りのない資料であるゆえに、証拠採用してしまえば東京裁判自体が成り立たないからです。
『紫禁城の黄昏』は戦後長らく世界中で再出版されませんでした。映画「ラスト・エンペラー」がヒットしたので、岩波書店が岩波文庫として刊行したのです。ところが、この文庫ではシナという国のあり方を説明した1章から10章までがまったく削除されて11章からはじまっている。しかも序文でも満洲国に関係ある人物が登場すると、1行でも2行でも虫が喰ったように削除するという、信じられないことをやっている。
満洲のことを中国東北部と称するのは、中国政府の侵略史観のあらわれです。満洲国は、満洲という土地に、満洲族一番の直系の王族が戻ってきて建てた国です。満洲というのは万里の長城の北にあります。それは、万里の長城から北はシナでないという意味なんです。
そのことを考えずに、満洲は中国の一部だというのは、チベットや新彊が中国だというのと同じ思想で、シナ人の単なる侵略思想です。
満洲は明らかに清朝政府(満洲民族の帝国)の復活です。満洲人の満洲人による満洲人のための満洲国を作りたかったんだけれども、それをやる能力がないから日本が内面指導したんです。大臣はすべて満洲人か、清朝の遺臣でした。首相だった張景恵は、戦後もずっと日本にたいして友好的な態度をとっていました。
残念ながら、いま満州族には国家を再建するほどの人間は残っていないでしょう。日本人もせっかく国をつくるのを手助けしたのにと、残念に思っていい。香山健一氏(学習院大学教授。故人)から聞きましたが、満洲人はいまでも涙を流すそうです。「われわれにも自分たちの国があったんだ」と。しかしもう戻らないでしょう。満洲国の血筋は消されてしまったわけですから。これこそ一種の民族浄化です。
今後、日本人、とくに政治家のような中国関連の仕事をやる人たちは、満洲国は日本が侵略したのではなかった、という認識をまずもって持たなくてはならないと私は思います。シナ人にたいする罪悪感を抱えたままでは、いつまで経っても何も変わりません。
(引用ここまで)
『紫禁城の黄昏』の原書を探し、完訳版の出版にこぎつけたのが渡部昇一さんでした。
「東京裁判」と「岩波文庫」が封殺した歴史の真実を明らかにしたのです。
渡部昇一先生ありがとうございました。
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