今日は驚くべき経験をした。

いや、実際大したこと無いんだけど、その時は本当に驚いた。

父親と二人でファミレスに行った時のことだった。

注文を終えて少しした頃、父親に小声で言われて気が付いた。

自分達の隣の隣の席に、俺の祖母と祖父っぽい老夫婦がいる。初めお爺さんの方を見て、あぁ、少しお祖父ちゃんに似てるなと思った。お婆さんの方を見る。これまた祖母に似ている!次にお爺さんの方をもう1度見る。何だか凄く祖父に似ている。続けて更にもう1度お婆さんの方を見る。祖母のドッペルゲンガーがそこにいた!

何度も何度も父親と一緒に確認するが、見れば見るほど本人達に見えてくる。片方だけなら自分の身内に似ていることも有り得るが、夫婦揃ってそっくりなんてことがあるか?

もう祖父母にはしばらく会っていないが、よっぽど本人なんじゃないかと何度も思った。第一孫の俺が間違えることがあったとしても、実の息子である俺の父親まで見間違えるか??

通常この辺りに祖父母が来ることはまず無いけど、理論的には有り得ないことじゃあ無い。

そのことがますますその老夫婦を疑わしくしていった。

全く同じではないけど、どうにも祖父母に見える。解りにくい例えかもしれないけど、ジョジョの奇妙な冒険第6部(ストーンオーシャン)のラストのジョリーン達みたいな似方だった。

ずっと横顔を見ていたが、その夫婦が最後に席を立った時正面から顔が見えて、両方ともやっぱり別人だった。

だが余りの動揺に、父親は食べかけのパスタを放って帰る二人を見送りに行った。

祖父母は普段車を使うが、ドッペルゲンガーは自転車で帰って行ったようだ。

結論から言うと、この二人はたぶんそこまで似ていたわけでは無いんだと思う。

ただ父親と二人で似てる似てると言ううちに、小規模の集団催眠にかかったんだと思う。

発展途上国では時々あることだが、複数の村人が同時に奇妙な体験をしたりする。

ペニスパニックというのがあって、突然オチンチンが無くなるという妄想に、複数の人間が同時に取り憑かれたりするらしい。まだ迷信とかが信じられてて、周りの誰も否定しないものだから何だかそんな気がしちゃうってやつだ。今日の俺の体験もたぶんそういうのの凄く簡易な奴だろう。

もし俺か父親のどちらかが「やっぱ別人だよ、よく見れば全然違う」と言えば、ここまで変な気分にはならなかったんだと思う。

生まれて初めて感じた恐ろしく奇妙な感覚だった。

文章にするとショボイけど、体験した時はちょっと怖いくらいだったんだよw