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 廣田神社 と 西宮神社 の参拝を終え、夜は神戸港の綺麗な夜景を見ながら、人類の行く末に思いをはせてみようかと考えていたのですが、西宮駅で「もしかしたら・・・」と思いつつ、改札の駅員さんに聞いたら、「巨人戦やってますよ。当日売りはまだあるようです」と言うことだったので、急に神戸とは反対方向の甲子園に行くことにしてしまいました。2015年9月9日という地球にとって重要な重陽の日に、まさか、阪神巨人戦を見ることにしようとは・・・。我ながら名案なのか迷案なのか不明なまま決断してしまいました。

 

【目指せ!カルト宗教団体員!】
 阪神ファンの熱狂ぶりは、カルト宗教団体並みであることは、よく聞いていましたし、映像でも見ていたので、現地でそれを体験しつつ、カルト虎キチ宗教団体員になってみるのも一興と思っていたのです。
 しかし、当日券売り場で、「1塁側(カルト席)は全て完売です」ということでした。やむをえず、3塁側外野席です。3塁側ジャイアンツ応援席も空いていましたが、それは絶対にあり得ません。

 

 レフトとセンターの中間あたりの最上段に近い外野席に着いたのは、1回表裏の攻防が終わった時でした。地元の皆さんには雰囲気で分かるらしく、「お前、ちゃうやろう」という無言のプレッシャーを感じていたのですが、「こいつ、巨人側じゃないな」ということは、すぐに分かってくれたようでした。なにせ、チャンちゃんはカルト虎キチ軍団の一員になりたくて、ここに来たのですから。

 

【辛辣なヤジなし】
 阪神は3回裏に、併殺崩れの間に1点先行しましたが、その直後の4回表、ピッチャーゴロで打ち取ってチェンジのはずが、藤浪くんがアンダーハンドトスで、住吉大社の太鼓橋みたいなマサカの山なり悪送球を投げてしまいました。一塁手が頑張ってジャンプしたけれど、とうてい届きっこないようなマンガのような間抜けな瞬間が目に入り、思わず、カクッて俯いてしまいました。このエラーで、塁に出ていたランナーが返り同点です。
 こんな時にこそ、虎キチのオッサンから、強烈に辛辣な面白いヤジが飛ぶはずと思ったのですが、それはありませんでした。意外というか、「カルト虎キチ軍団の、愛すべき、いいところは、そこなのに・・・」とちょっと期待を裏切られた気分でした。
 というか、そもそもオッサンたちが観客の中にそんなにいなかったのです。拍子抜けするほど少なかったのです。プロ野球観戦者の年代構成が若年化しているのは間違いありません。辛口の面白いヤジを言えるような教養と人生上の憤懣を湛えていない若い世代が殆どなのです。
 といっても、チャンちゃんがプロ野球の公式戦を見たのは、15年ほど前、東京ドームで巨人戦を1回見た切りです。台湾企業日本支社に勤務する友人が誘ってくれたので行ったのですが、わざわざチケットを買って行きたいというほどのプロ野球に対する興味はそもそもありません。だから、対戦相手がどのチームだったかも覚えていません。ただ、その時は、後に中日の監督になった落合さんが4番で、落合さんと高橋由伸選手の二人がホームランを打ったことを覚えているだけです。
 過去の野球観戦歴がたった一度とはいえ、15年ほど前と今日では、日本の経済状況・社会状況が大きく変わってしまっているのは間違いないことです。だから観客だって変容しているのです。

 

【「空気読めよ」】
 ホームグランドチームは、どこでもラッキーセブンの攻撃を前に風船リリースの景気づけイベントをするようですが、この日の7回表の情景には笑ってしまいました。
 ワンナウトになったあたりで、観客たちはリリース用の風船を膨らまし始めるのですが、2アウトになった時には、観客たちの手元の風船はパンパン状態で、7回表の巨人軍の攻撃終了を待つばかりでした。完全にスタンバイ状態です。
 しかし、ピッチャーの藤浪晋太郎はここでフォアボールを出しました。これくらいはまあ、仕方がないでしょう。ところが、さらに、あろうことか、ここで阿部慎之助にホームランを打たれたのです。

 

 ここで数方向から耳に飛び込んできたのが「空気読めよ」というえらく品のいい脱力気味のヤジでした。辛口のオッサンなら、こんなに品のいいヤジを飛ばすことなどありえません。
 「空気の読めない」タコな戦犯は、肝心な時にヘマをやらかす阪神ピッチャーの藤浪晋太郎と、不謹慎にも敵地の甲子園で7回表2アウトで2点勝ち越しのホームランなんかをかっ飛ばしてしまった巨人の阿部慎之助という、二人のシンちゃんコンビなのですが、にわか虎キチ軍団員のチャンちゃんは、この「空気読めよ」のヤジがおかしくて、失笑気味の笑いを笑ってしまいました。しかし、周りの本場虎キチ軍団の多くは、失笑どころじゃないのです。
 この時点で、ウップン晴らしのフライング風船リリースをしてしまった虎キチたちは沢山いました。気持ちは良く分かります。

 

【本番風船リリースの御利益】
 本拠地チーム7回攻撃開始前の本番風船リリースは、観客たちによる恒例の景気付けお祭りイベントのようなものなのですが、その甲斐あってか、阪神は連打でたちまち同点に追いつきました。
 2点差を追いついたこの時は、カルト宗教団体並みの熱狂ぶりをやや感じさせるものではありましたが、いまいち、本気な盛り上がりを感じませんでした。

 

 現在、阪神はセリーグ1位です。しかし、バース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発 で優勝した年に比べたら、まるで盛り上がっていないだろうとしか思えませんでした。
 「なぜ?」と思いつつ、インターネットで、現時点でのセリーグ順位表に掲載されているいくつかの数値を見てみたら、阪神は首位でありながら、「失点」と「防御率」はワースト2位(6チーム中5位)、「得点」、「本塁打」、「盗塁」、「打率」は、どれも最下位(6チーム中なんと6位)なのです。「何で、これで首位なわけ?」と思わざるをえません。
 これでは、いくら首位とはいえ、虎キチだって熱狂するカルトな宗教団体員にはなり切れないでしょう。シケてますよね。

 

【延長戦の結末】
 9回を終わって、3対3の同点でした。「延長12回で決着がつかない場合は、引き分け終了となります」とアナウンスがあったので、チャンちゃんは10回が終了した時点で、球場を後にしました。球場はほぼ満員状態でしたので、帰りの電車の混雑を大いに厭わしく思ったのです。

 

 阪神が11回裏にサヨナラヒットで勝ったのは、チャンちゃんがちょうど梅田行きの電車に乗った頃だったようです。「勝利の瞬間に球場にいなかったのは、もったいなかった」とは思っていません。ひと頃の阪神ファンのように、カルトな宗教団体的な狂気の盛り上がりを感じられそうな雰囲気は全然なかったからです。

 

 であるにせよ、台風一過の重陽の日に、地元の廣田神社と西宮神社を参拝し、その帰りに阪神を応援しに甲子園球場に行ったのですから、阪神が勝ってくれたことを嬉しく思いました。

 

 

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