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 15人の三菱商事のプロフェッショナルの事例が書かれている。一人当たりの記事は、僅かに10頁程度だから、どうしても読みごたえに欠ける。しかも、書かれているのは1990年代のことだから、客観的情報もあんまり有効とは思えない。1999年1月初版。

 

 

【原油の輸入】
 日本に入ってくる油は、 ・・・(中略)・・・ 約8割は中東の原油である。中でもUAEからの原油は、現在日本に入ってくるモノとしては最も多く、全体の約25%を占めている。UAEから出る原油は、日本にとって非常に受け入れやすい性質を持っているためだ。原油からはJPG,ナフサ・ガソリン、灯油、軽油、重油などがとれるのだが、その構成比が日本の需要構造とうまく合っているのである。(p.23)
 日本への最大の輸出国は、サウジアラビアだとばかり思い込んでいたから、「えぇ~~」である。
 ところで、世界はもう原子力や石油といったエネルギー源に依存する必要などなくなっているのである。「出口のないトイレ」といわれる放射能発生装置(原発)など論外も論外。石油は地球の血液である。かろうじて貧血を免れているけれど、もうこれ以上組み上げるのは危険である。だからこそ、産業構造も徐々に変える方向で計画しておかなければならないのである。商社の皆さんはそのような視点で考えているのだろうか?
   《参照》   『まもなく宇宙人が到着します』 田村珠芳 (ハギジン出版)
             【フリーエネルギー時代の到来】

 

 

【石油を原料とする繊維製品】
 現在、三菱商事では、ユニクロ全商品のうち約2割を扱っている。(p.71)
 綿花の四大産地は、中国とアマリカとインドとパキスタン、その地で、コットンの代替であるポリエステル産業が伸びないはずがない。そう藤木たちは見ていたのだ。そして、この予想はたがわなかった。
 繊維製品と石油は深いかかわり合いがあるから、両方に関わる商社は、むしろ企業利益を守る立場から、化石燃料維持側に立つ抵抗勢力になりかねない。
 衣料用の繊維は石油からではなく麻から造るべきである。麻の利用によって、医療業界も、治療医学から人体の抵抗力を高める予防医学へと向かい、お金のかからない本来あるべき医療に立ち戻るはずである。

 

 

【コーヒーの販売方程式】
 コーヒーは、味覚だけでも変えない。そこには相場と価格の問題がいつも潜んでいた。
 たとえば、日本の顧客から、こういうグレードの豆がほしいと言われたとする。もし、その言う通りのグレードのものを簡単に用意したいと思えば、とにかくいい豆を買えばいい。ストライクゾーンのど真ん中に投げればいいのである。しかし、もしそんなことをすれば大赤字を被ることになる。ストライクゾーンぎりぎりに投げない限り、儲けることは難しい世界なのだ。ではどうするか。欠点のある悪い豆をいい豆でカバーし、両者をミックスして売るのである。それはコーヒーを販売する上での欠かせない方程式だった。(p.129-130)
 缶コーヒーの場合も、巨額の宣伝費をかけて売り出す最初の時期は、実際によい豆を使うけれど、徐々に安い豆をブレンドして利益を出すようにしているのだという。最初の頃は美味しいと思ったけれど、その後はそれほど美味しいと思わないのは、味に慣れたからではなく、実際に味が落とされているからなのである。
 トップバリューの1リットルでたったの98円という紙パックのコーヒーも、最初はすごく美味しかったけれど、今は値段なりのコーヒーの味である。

 

 

【モスクワのコーヒーショップ】
 三菱商事6割、ドトールコーヒー4割の出資で合弁会社が作られ、97年8月14日、・・・(中略)・・・ 誕生した。1日800人から1000人もの客が集まる盛況ぶりが続いた。(p132)
 ロスチャイルドやロックフェラーといった国際金融資本家たちに搾取されていた国益を、プーチンさんが取り戻して以来、ロシア経済は好況を続けている。EUの通貨ユーロが沈んでいる現在、ヨーロッパ各地の観光地をにぎわしているのは、ほとんどがロシア人だろう。日本の商社が、このようなロシア市場を見逃すわけはない。JTなどもロシア市場で多くの利益を上げているらしい。
   《参照》   『ロシア・ショック』 大前研一 講談社 《前篇》
             【ロシアにおけるJT】

 ところで、飲食の嗜好は国によって異なるものだけれど、ロシアにおいては読みが外れっぱなしだったらしい。
 いざ、始めて見ると、驚くべき傾向がいくつもあった。通常、ブレンドコーヒーが最もよく飲まれるのだが、モスクワっ子が飛び付いたのは、ウィンナコーヒーだったのだ。また。日本における売れ筋、ブレンドコーヒーとホットドッグという組み合わせよりも、ケーキとウィンナコーヒー、ジャーマンドッグではなく、サーモンの入ったミラノサンドCが好まれた。(p.132)

 

 

<了>