《前編》 より
 

 

【アメリカの現状】
 国民の12%が食料の配給を受ける一方で、ウォール街の高額ボーナスは復活。低空飛行を続ける実体経済と、マネーを追いかける金融資本家たちが跋扈するウォール街との乖離は、ますます大きくなっている。(p.99)
 全米のU6(完全失業に半失業状態の人を加えた率)はすでに ・・・(中略)・・・ 35%にも達する。(p.103)

 

 

【国際通貨として機能するドルと、しないドル】
 2008年9月以降、そのイギリスもついにドルを支えることをやめた。これがイギリス王室とFRBの所有者たちとの決裂の時だった。こうして2008年9月以降にFRBが刷ったドルが世界中から国際通貨として認められなくなり札に印刷された符牒=紙幣番号により、世界で国際通貨として機能するドルと、しないドルの二つが存在することになった。そして、符牒のあるドルは現在「1ドル=金1グラムの28分の1」の金本位制となっている。(p.115)
   《参照》   『日本を貶めた「闇の支配者」が終焉を迎える日』 ベンジャミン・フルフォード 《前編》
             【アメリカは実質的に倒産している】

 

 

【ペルシャ湾岸協力会議の発表の重大性】
 中国は2008年から符牒のないドルを拒否しはじめ、その動きに産油国の王室なども同調。ペルシャ湾岸協力会議(GCC)は同時に新しい通貨を発表し、石油のドル建て取引をやめるという判断を公にした。
 ちなみにGCCとはサウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、オマーンによる連合で、三カ国全体のGDP規模は1.2兆ドルと世界の石油の約4割を握る一大勢力だ。
 このGCC(ペルシャ湾岸協力会議)が中国、ロシア、日本、フランスと協議し、石油のドル建て取引をやめ、日本円、中国元、ユーロ、金地金、そしてGCCが予定している通貨統合によって作られる新通貨を加重平均した通貨バスケットを使う予定と発表。
 このビッグニュースは日本のマスコミでは黙殺されたが、海外ではイギリスのインディペンデント紙などが報じ、「すでに各国の財務相と中央銀行総裁がこの件で秘密裏に会議した」とまで伝えた。(p.117)
 何といっても、アメリカの財布と言われてきたサウジアラビアと日本の両国がドル離れの陣営に加わったということが大きい。これは、実質的にアメリカのネオコン派、戦争遂行勢力の資金源を断った事を意味する。
 これは第2次世界大戦後60年以上続いてきたドルの覇権というルールの変更が、いよいよ間近に迫っていることを示している。(p.118)

 

 

【今後の日本】
 今後、日本は中国と対等な関係を築き、ASEAN諸国や中東、新興国との間の主要なハブとしての地位を築いていくことで、十分に発展していくことができる。そして、私たち一人ひとりも中国語、ヒンドゥー語、アラビア語など、アジアの中東地域で使える言語を見につけるべきだ。そうすれば、世界を取り巻く状況がどう変わろうと価値ある存在として、生き抜いていける。
 大きな物語の変化を諦観とともに眺めるのではなく、個々人が自分たちの小さな物語を支えられるよう備えをしていくことが大切なのだ。(p.186)
 そう、日本は世界最大のアジア経済圏の幹事国として国際経済や国際社会に対して貢献し続けるべきである。

 

 
<了>