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 中国歴史関係の書籍って私にとってはほとんど未踏の世界。陳舜臣さんの著作も一つとして読んだことがない。今も昔も興味が向かないのである。いずれ興味が向かうかもしれない時の為に、引っかかりになりそうなところを書き出して・・・・と思いつつ。

 

 

【台湾文化向上のために本屋】
陳 : 台湾でね、一緒に商売やらないかと、本屋をやらないかという話があったんです。 ・・・(中略)・・・ 。五人の仲間が本屋をやって台湾の文化を向上させようと集まったんです。 ・・・(中略)・・・ 。その一人というのは李登輝です。(p.32-33)
 白色テロの時代だったのだから、この本屋は実現していない。仲間のうち3人は銃殺されたという。

 

 

【岳飛】
田中 : 僕は大陸のほうと台湾と香港、合わせてなんどか行きましたけれども、そのたびに地元に人に 「漢民族にとって歴史上のヒーローとは誰ですか」 とうかがうと、やっぱり岳飛という答えが返ってきます。(p.66)
 杭州の西湖、蘇堤の北端にある岳廟で、ガイドさんが女真族の金と戦った北宋の将軍・岳飛を報国の士として称賛していると、観光客の中から 「そんなのはココだけだ」 という声があがったのを覚えている。中国も広いから全ての中国人が、岳飛を英雄と思っているわけではない。近隣地域でも利害は異なるのである。
 岳廟には、岳飛を死に追いやった秦桧、その妻、万、張の4人が後ろ手に縄を縛られて跪いた像がある。日本人なら、金との和解につとめた秦桧を売国奴扱いになどするはずはないと思うけれど、中国人は違う。

 

 

【中国ものには女性が少ない?】
田中 : とにかく民間では 『三国志』 『水滸伝』 ですから、そうすると中国ものには女性が少ないみたいな先入観がありますけどね。
陳 :そうじゃないですね。ずいぶんとあるでしょう。
田中 : 『楊家将演義』 とか。
陳 : 日本ではこういうのは翻訳されなかった。(p.120)


『楊家将演義』 明代の長編小説。作者は紀振倫。五代北漢の名将楊業から五代目の楊懐まで、五世代にわたる楊家の女将の活躍を描く。 (p.79)
 『楊家将演義』、邦訳は存在しないが、北方謙三による翻案があるらしい。
 最近は、中国の歴史物を好む日本人女性が増えていると書かれている。

 

 

【王守仁】
 この人の号は陽明、つまり 「陽明学」 の祖である王陽明がかれなのだ。彼は偉大な哲学者、思想家として日本では知られているが、じつは誠実で有能な大臣であり、とくに明代中期を代表する一代の大軍略家であった。(p.146-147)
 ということで、王陽明(王守仁)の軍略家としての事績(1519年 「寧王の乱」 鎮圧に関すること)が3ページにわたって記述されている。王陽明については、明治維新に少なからぬ影響を及ぼした “知行合一” の陽明学を語った思想家としてしか知らなかったから、「へぇ~」 である。

 

 

【中国服】
陳 : いまの中国服というのは、とくに女性の服ね、あれは満州の服ですよ。中国と違います。中国は着物ですから、日本の着物のほうに近い。今の中国服は馬に乗る服装ですよ。だから、女の人のスリット、切れているでしょう。あれはパッと前と後ろに引っ張ったら馬にすぐ乗れるようになっているんです。あれは完全に満州服。(p.40)
 男なら容易に思いつく “色っぽさ追求の極致“ という邪推は大ハズレ。じゃじゃ馬を乗りこなす逞しいオネエチャンの服でした。ちょっと引く。
 ところで、現在の中国は、服も言語も、その源流は満州ということになる。
  《参照》  『あと5年で中国が世界を制覇する』 副島隆彦 ビジネス社 《後編》
          【満州人の文字と言葉】
 

<了>