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 古書店でみつけたこの書籍。このような書籍って、読んでおくことで世の中の実態が分かるものだし、防犯能力が高まりもするだろう。
 法律を犯しているものとそうでないものがあるけれど、後者にしても、なるほど “裏” と呼ばざるを得ないような職業がいくつも紹介されている。

 

 

【鍵師】
 「中にはあんまり遅いからって、イライラした刑事に蹴られたって同業者もいましたね。暴力団の人たちは開ければお礼を言ってくれますし、こちらもすがすがしい気持ちになりますよね。でも刑事さんなんかは逆にタチが悪いんじゃないかと思うな。無理な依頼をしてきて、早く開けろですからね。開錠してもひと言の礼も言わない人もいますよ。(p.61)
 なんか可笑しい記述である。刑事さんは、ヤクザさんに礼儀を習った方がいいのじゃないだろうか。
私服の中には、 「アンタが犯罪者だろう」 て思ってしまうような人相の人を見かけることがある。常識がないというか傲慢な制服も時にいるから注意した方がいい。

 

 

【カツカン、ナキカン】
 新聞拡張員の用語で、恐喝勧誘、泣き落し勧誘のこと。
 私の所に来たら、営業のテクニックを拝見させてもらうために、つきあってしまいそう。

 

 

【ケンキリ】
 示談屋さんの話の中にあった情報。
 「交通事故ってよく健康保険が使えないって言われてますけど、まったく問題なく使えるんです。病院側がポイントを上げるために使えないって言ってるだけで、ケンキリなんて簡単にできる」
 ※ケンキリ 健康保険への切り替えのこと。できないと思っている人が意外なほど多い。 (p.88)

 

 

【産廃処理業者】
 作業をするのは土曜か日曜って決まってたね。それぞれの県には環境管理事務所ってのがあって、そこの職員が悪いことしねえかって見回りにくるんだけど、お役所だろ、きっちり土日は休むわけ。(p.97)
 さすがはお役所。存在自体が無意味に等しい。どうせ閑な仕事なんだから、職員が休日をずらして管理するくらいの気になってもよさそうなのに、そんな職務意識は絶対に発生しないのがお役所のお役所たる所以である。

 

 

【運び屋(スマッグラー)】
 工夫を凝らし、持ち込みに関しては絶対の自信を持っている今井だが、彼に痛烈な敗北感を与えたスマッグラーがいる。その人物とは今井と私の知人であるカナダ人のティムである。 ・・・(中略)・・・ 。
 どうやって持ち込んだのかと聞くと、彼は、ポケットに入れてきたという。信じられずにそのままかと尋ねると、そうだと頷く。(p.107-108)
 日本の入国時の管理の杜撰はさ超一流ということか。そういえば成田で捜査犬を見た記憶がない。海外では機内で食べ忘れたバナナですら嗅ぎ分けて押収されたことがあるというのに。

 

 

【夜逃げ屋】
 「ジャック(借金)が300(万)くらいあるやつが多いよ。それだと自己破産も難しいから、思い切って逃げちゃえって考えるんだろうね。だけど夜逃げの代金はしっかり用意しているんだぜ。どこから借りてくるのか分からないけど、そんだけ払えるんだったら、返せばいいのにっていつも思うよ」(p.158)
 まったく。
 夜逃げ料金は、ケースバイケースだけど、男性一人のワンルーム暮らしの場合、30万円ほどだという。

 

 

【090金融】
 事務所を持たず、携帯電話だけで金貸しをしている業者の総称。取材対象の人は、元手がなかったので、トイチで借りてトサンで貸すという綱渡りをやり終えて軌道に乗ったという。トイチは10日で1割、トサンは3割。
 「俺は始めてから半年で軌道に乗ったけど、いつパクられるかもしれないし、ホント楽な商売じゃないと思うよ」
 個人ヤミ金の本質は、客を追い込みながら自らも追い込まれているという状況にあるのかもしれない。だから逮捕者が後を絶たないのだろう。
 高尾氏は今後も090金融として活動していくという。最後にヤミ金に骨までしゃぶられないために、どのようなことに注意すればいいのかと尋ねた。
「借りないこと。それだけだね」 (p.189)
 予想通りのクロージングだけれど、やはり笑ってしまう。
 多重債務者としてブラックリストに載っている人や、応急の資金繰り用に中小企業経営者が借りてしまうのだろう。現在の法定貸出金利の上限は年率12%程度か? それにしてもトサンは、わずか10日で2年半分の利率だからベラボウである。
 
 
<了>