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 著者は、美大卒でイラスト入りの文章やらルポやら幅広く手がけていると書かれていた。親しみやすい綺麗なカラーの水彩画が豊富で、文章は全体の半分以下。

 

 

【初心者向けの着物の絵本】
 イラストは楽しいけれど、着物の熟練者が書きそうな内容ではなかった。少しは奥深い日本人の文化的な記述があるのだろうと思っていたけれど、
 着物を自分で着られるようになって、まだやっと3年。これからたまだまだ勉強することだらけの私が、着物の本を作ってしまうとはなんと図々しいことか。 (p.158)
 と、あとがきに書かれていた。これを最初に読んでいたら、買わなかったかも。
 そうはいっても、和服については知らないことだらけ。一つでも単語を覚えたらそれでいい。

 

 

【反物のサイズ】
 着物になる着尺は、幅約36センチ(9寸5分)、長さが約12メートル(3丈強)の大きさだ。(p.10)
 これで着物が1着できる。

 

 

【セルの着物】
 セルの着物というが、これがウールの着物のことだと知ったのは割と最近。お恥ずかしい限り。これが英語のサージからきていると知ってますます驚き、そのあと納得。サージは綴りで書くと serge 、これがちょっと昔の日本語の訛りの英語読みで、セルジとなって、そのあとセル、になったのだろうか。 (p.18)
 へぇ~。 「セル」 を辞書で引いたら、梳毛糸(そもうし)を主とした単位着尺(きじゃく)や袴用の毛織物。 と書かれていた。

 

 

【畳(たとう)】
 舞い上がりながら箱を開けると、次々に膨らんだ畳(たとう)がでてくる。ひとつずつ開けていくと、卵色の疋田の振り袖、鴇色の小紋、真っ赤な地に唐子の描いてある塩瀬の帯や花菱模様の袋帯などが目の前に現れる。(p.56)
 「たとうがみ」 の略。 「たとうがみ」 を辞書で引くと、ふところがみ、かいし、折り紙、という意味もある。しかし、着物の世界でいう畳紙は、畳んだ着物を保管する場合の大きな紙のことを言うらしい。

 

 

【日本の寸法】
 着物のシステムの話だった。着物に限らず日本の寸法は人が基準になっているようで考えてみると面白い。建築の寸法、障子や畳の大きさは人一人が通り抜けたり寝たりするのにちょうどいい。布団も畳一枚分。その布団を3つに畳めば半間の押し入れにぴったり入って収まる仕組み。反物の幅ちょうど3枚分がその布団の幅になる、という立派さには感動すら覚える。そしてこれらのサイズが、それぞれ長さや大きさの単位になっているのだ。(p.149-150)
 工業力が行き渡っている現在のような時代に生きていれば、昔の単位に感動したりもするのだろうけれど、全てを人力で賄っていた時代のことを考えれば、人体が基準になっているのは普通というかむしろ当然である。