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 心身ともに絶不調な昨今、しばらく本は読むまいと思っていたけれど、漫画のゲバラなら・・・と手にしてしまった。著者のリウスはメキシコでもっとも人気のある漫画家とある。

 

 

【エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ】
 1928年6月14日、アルゼンチン、ロザリオ市で未熟児として誕生。(p.5)
 2歳のとき、喘息にかかった。そのために、一家はコルドバへ転地。父親はここで、健康のためにありとあらゆるスポーツを教えた。(p.8)
 コルドバといってもスペインではなくアルゼンチン国内のコルドバである。喘息を直すのならブエノスアイレス(いい空気)へ引っ越しそうなものなのにコルドバである。
 友人たちの話では、当時の彼は活気にあふれ、独立独歩。物を欲しがらず、身なりにはいっこう構わず、シャイで、孤独が好きで、気違いのように本を読み、勉強にはげんでいたという。(p.9)
 後のキューバ解放後の国造りに必要とされた鋭利な知性は、この時に身につけていたらしい。革命派の闘士のイメージから得られる単なるマッチョな肉体派というだけではないスマート・ガイだった。清貧かつ勤勉な生活態度も、少年時代から身についていたものだった。

 

 

【キューバ国立銀行総裁】
 ヤンキーに支配され、貧富の差が激しく荒んだ国になりはてていたキューバを、アメリカから解放したゲバラ。
 それまでアメリカで印刷され過剰に供給されていた紙幣を停止させ、チェコスロバキアで印刷するようにもした。
 1959年11月28日、チェは、なんと、キューバ国立銀行総裁に任命される。
 初代総裁となったチェは、シャツ姿で仕事にのぞんだ。くたびれた軍服風の服を身につけ、櫛を入れないモジャモジャあたまで。そしてまず自分の給料を5000ペソから1200ペソに引き下げた。(p.52)

 チェは、いい服着ようとか、新しい靴はこうとか、そんなことには関心なかったね。われわれ労働者と違うもんを食べてたことも一度もない。労働者手帳を持ってて、支給されたものを食べて着てた。特権ってものが大嫌い。・・・中略・・・。彼は生きてる間じゅうずっとゲリラ兵士だったね。スゴイことだぜ。
 ほんと、スゴイことだぜ。
 何一つ実態ある物など作りもしないくせに、自分達だけは厚く分捕る習い性のある露骨に薄汚いアメリカをはじめとする世界中の銀行家たち。現在の世界不況は、そんな奴等の欲望によって引き起こされたから、さすがに世界蔵相会議で、「銀行は、自分たちばかり厚く分捕るのをやめよ」 などと宣言を下していたけれど、治りっこない・・・と思ってしまう。天下りが集積している日本の銀行家だって薄汚いなんてもうもう・・・・。
 しかし、今から50年も前に、アメリカ相手に命をかけて闘い、それを制した後も、権力や金に決して溺れることなく行動して見せたチェ・ゲバラという人物がいた(!)のである。
 ゲバラは、アメリカが支配していた土地・銀行・工場・商社などを、あいついで国有化していったため、史上最大の核戦争危機と言われた1961年のキューバ危機へと連なって行くけれど、この危機の大本は、どこまでもアメリカの度を越した他国へのCIAを先兵とした経済介入(支配)である。
 今日のアメリカの本質も、依然として当時のままである。日本は明らかにアメリカ化している。
 日本には、チェ・ゲバラに相当する英傑は出現していない。

 

 

【チェ・ゲバラの死】
 アメリカに支配されていたのはキューバだけではない。南米諸国すべてといっていい。チェ・ゲバラはボリビアの解放のために、再びゲリラ活動を開始した。しかし・・・・
 CIAは、チェを処刑することに決定。・・・中略・・・。1967年11月9日12時、ラテンアメリカの解放に、命を捧げた男が英雄的な死を遂げた。 (p.100)
 39才であった。

 

   《ゲバラに言及している書籍》
   『男の復権』 池内ひろ美 (ダイヤモンド社)
        【引きうける気概なき脆弱さ】
  

 

<了>