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 顔と表情は明らかに別物で、ほとんどすべてを支配するのは表情であることに気づかせてくれる書籍である。あらゆる場面、あらゆる状況で、人の表情を 「よく見ているな」 と著者のセンサーに感心してしまう。

 

 

【「表情力」の2つの意味】
「表情力がある」 ということには2つの意味があります。
 ①自分の表情をコントロールできる。
 ②相手の表情を通じて気持ちを感じる力を持っている。
 相手の顔は見ていても、表情を見ていない人がいます。
 コンサルタント的な視点が、以下に記述されている。
 お客の頭数を調べても、表情はわかりません。
 お客さまの表情は、帰るときの背中にも出るし、お店から出てきた時の顔にも出ます。
「おいしかった。また来ます」 と言いながら、顔がそういう表情ではないこともあるのです。
 特に東京人は気を使うので、「また来ます」 と言っても、言葉と表情にズレがあるので、表情を見抜くことが大切です。 (p.26)
 現場に足を運ばず頭数の数量データだけで解釈しようとしても、表情は見えない。
 怠惰なコンサルは解法を誤るのである。

 

 

【表情力とは、平常心】
 表情力とは、別の言い方をすると、アクシデントに出会った時の平常心なのです。
 ・・・中略・・・。
 表情には、その人の精神状態が出てしまいます。(p.33)
 例えば菩薩の仏像の様な表情。いつもどんな時もあんな表情でいられたらベスト。

 

 

【写真には顔よりも表情が写る】
 素敵な写真を残したければ・・・
 カメラのレンズの中に、好きな人の顔を思い浮かべる。
 好きな人の顔を見ている時が、その人のベストの顔です。 (p.69)

 

 

【モテる人】
 美人でないのにモテる人がいます。
 そういう人には表情力があります。
 それを 「性格がいいから」 と言ってはいけません。
 美人と性格という両極端の議論になって、表情という大切なものを忘れてしまうのです。(p.74)
 決して美人ではないけれど、離婚3回(結婚4回)子供6人という女性に会ったことがある。その人の明るい印象が強烈に残っているけれど、つまりその印象の源は、「表情力」 だったのだと納得できる。

 

 

【冷たい美人】
 「冷たい美人」 と言いますが、冷たい美人は表情力が足りないのです。
 表情力のある人には、仕事がきて、役がつきます。 (p.77)

 

 

【表情美人】
 表情美人は、自分以外の女性に話されている時にも、その話をニコニコ笑って聞けるのです。
 クラブなどで、ヘルプで来てナンバーワンにのし上がっていく女性がいます。
 そういう女性は、お客さまがほかの女性に話しているときにもニコニコ笑って聞いているのです。
 そうすると、「このコ、かわいいな」 と思われて、人気が出るのです。(p.86)

 

 

【本当に笑っている表情】
 音楽の授業では 「いい声を出すためには口を大きくあけて」 と教えていましたが、口を大きくあければあけるほど、正しいきれいな声は出ません。
 本当の声楽家は、口があまりあいていません。
 無理に大きな口を開けていたら、緊張が解けていない状態になっている。
 本当に笑っている表情は、口の前を閉じていながら奥歯があいている状態です。
 奥歯の間隔をあけるのです。(p.128)

 

 

【凄いことをしている時ほど、表情は変えない】
 一流のダンサーは、凄いテクニックを何でもないようにやってしまいます。
 本当に力のある人は、力が入っていることを見せません。
 力のない人ほど、踏ん張っているところを見せたがります。
 表情の一番大事なポイントはここです。
 表情に力を出しているのが見えているうちは、本当の表情力ではありません。
「モナリザのほほえみ」 と同じで、淡々とした人のほうがいろいろな表情を出しているのです。(p.174)
 これが、この書籍のクロージング・センテンスである。 
 
<了>