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 著者が20年ほどかけて開発したデバイスの説明のために著された書籍らしい。人間の能力開発に関わる音楽やα波に関して、信頼に足る記述がされている。


【音楽の原点は、神に捧げる祈りの言葉】
「音楽の原点というのは、神に捧げる祈りの言葉なんです。どこの民族でもそうですが、日本人の場合は神道の祝詞ですね。そして、そこに集まっている人たちは、祝詞自体の音楽と一体になるわけです。みんなが一つになれば、そこに大きな調和が生まれます。病気というのは、生活の中のリズムが崩れ、大宇宙からの波動を受けることができず、調和を乱した結果起こるものです。・・・(後略)・・・」   
 と宮下さんは、独自の感性でバイオサウンドの原点を語ります。   (p.27-28)
 宮下富実夫さんがこのように語っていたのは知らなかったけれど、私自身が宮下さんのヒーリングミュージックを耳にするようになった時期と、神道を学び出だした時期は殆ど重なっていた。必然だろう。
 神道は仏教に較べたら、倫理的・道徳的な観念教育などせずに、むしろそれらによる固定観念を打破しつつ芸術的・感性的な手段で御魂にダイレクトにコンタクトするスピリッチュアルな手法を持っている。
 宮下さんは、それを体験しているからこそ、ヒーリング・ミュージックの創造活動をしているらしい。
「コンサートでシンセサイザーなどの演奏をしていると、魂が肉体から抜け出して、音の世界に深く入っていき、その世界のビジョンを見ているんです。おそらく、聴衆のほうも音楽に陶酔すると、私と同じように魂が体からぬけだすのではないでしょうか。一種の体外離脱のような状態ですね。要するに、音を通して次元を超えた意識、無意識を超えた意識は、音の世界を旅して、元の肉体に戻ってくるのです。魂が肉体の外に出て、いいビジョンを見ると、病気のことも忘れ、病気への執着も消えてしまいます。それで、病気が治ってしまうのではないでしょうか」
 と宮下さん。   (p.28-30)
 

【1/f ゆらぎ】
 星のまたたき、小川のせせらぎ、さわやかなそよ風など、私たちが心地よいと感じる自然界に存在するゆらぎには一つの規則性があります。・・・(中略)・・・。一秒間に何回変動するかという数(f=フラクテュエーション)の逆数に比例するような変動の仕方が私たちが心地よいと感じるようです。これが “1/f ゆらぎ” と呼ばれているものです。・・・(中略)・・・。昔から名曲と呼ばれている音楽は、メロディ(FM変調)も強弱(AM変調)も見事な 1/f の特性を示します。
 名画の場合も、その色彩を波長に変換し解析すると “1/f” ゆらぎになっていると書かれていたのを読んだことがある。
 1/f ゆらぎを含むバイオウェーブを受けると細胞は活発化して心は安心し、ホワイトノイズ(1/f ゆらぎでないバイオウェーブ)を受けると細胞は動きを止めて心は不安に向かう。
 しかし、だからといって、1/f ゆらぎが、いつでも全ての人にとって有効か? というと、これが違う。

 

 

【 “1/f ゆらぎ” が有効かどうかは、心理的な要因に支配されている】
 ストレス解消としてブームにまでなった1/f ゆらぎの音楽や環境音が、何となく人気が冷めてきた背景には、聞く人の状態や状況と心理的な働きに強く依存していて、良くも悪しくも作用してしまうからです。1/f ゆらぎは生命体にとって強い刺激ですから、その作用力は顕著になり、明るく肯定的な人には良い作用をもたらすものの、ストレスが溜まって暗く否定的な人にはかえって悪い作用をしかねない要素をはらんでいるのです。  (p.84)

 人によってはモーツアルトやバロック音楽を聞いても、アルファ波がでにくいこともあります。特に高校生のような若い人にその傾向が顕著です。年配の人が聞いたらベータ(β)波が支配的になるようなビートのきいたリズムのはっきりとしたロックミュージックやディスコサウンドの方がむしろアルファ波が強く出るのです。おそらく音楽の絶対的な効果よりも条件反射反応の方が強く作用するものと思われます。静かにバロックを聴いているより、仲間と共に騒いだ方が楽しいのです。   (p.140)
 人間には心理というものがある。心理的な要因は、人体を支配する各種ホルモン分泌のマッチポンプ役になっている。測定可能な外部因子である1/f ゆらぎの客観的効力より、内部心因による主観的なホルモン分泌の方が、人体に関する支配力は強いということなのだろう。
 

 

【 “α (アルファ) 波” 誘導装置は有効か? 】
 機器を用いた外部からの刺激によってα波を誘導しようという試みに関して、以下のように記述されている。
 アルファ波の強く出ている人が、パラメモリー (受験生などに普及している記憶力増強のためのアルファ波誘導機器) を使うと、なぜかアルファ波が出にくくなることをしばしば観察しました。
 もともと自発的に出ているアルファ波の周波数とパラメモリーによって誘導しようとするアルファ波の周波数とが一致せず、お互いにつぶし合っているようなのです。   (p.104)
 であるならば、結論として、「自分自身が楽しんで没頭できている時、脳波はα波になっており、細胞も活発化しているのだから、機器になど頼らず、常に何かに没頭できるように、自分自身の生き方を訓練づけることが最良かつ最上」、ということになる。

 

 

【疲れないコツ】
 試合に勝って優勝したとき、試験に合格して資格を取得したとき、心からありがとうと思ったとき、全身の細胞の疲れはとれ、まだまだ行動できるのです。疲れやすい人は、行動したから疲れたのではなく、心から満足や感謝の気持ちが働かず、むしろ不安や不満の気持ちで過ごしたにちがいありません。
 何もしないで一日中寝ていると疲れてしまいます。動かないのに疲れるのです。これはドーパミンの出るチャンスがないからです。むしろ一日中楽しく動きまわって満足を感じると、これまでの疲れは取れて元気はつらつになります。ドーパミンがたくさんでたからでしょう。  (p.128)
   《参照》   『「随所に主となる」人間経営学』 浜田広 (講談社)
             【「疲れた」は禁句】
 これは、誰でも経験的・体験的に知っていることだろう。「疲れる」 が口癖の人は、心に 「不平不満」 を抱いている傾向が強い。ブーブー言っている時間があるのなら、ハイキングにでも出かけて一日中ノー天気に歌でも歌いながら山野を歩き回っていた方がはるかに効果的である。
 あまりにも心が沈滞している人は、いくら栄養剤に頼っても全く疲れが取れないだろう。ドーパミンが分泌停止状態になっているからである。やはり体を動かすことである。肉体労働者はたいてい悩まないし沈滞しない。
 

 

【音の周波数領域と脳の満足】
 人が耳で聞きうることのできる音の周波数は、20~2万ヘルツの範囲内といわれています。ですからCDは2万ヘルツ以上の聞こえない音をカットしているそうです。きわめて合理的な考えに基づいたレコードです。ところが音楽家や音にうるさいオーディオマニアはCDの音楽を嫌います。音楽ではない、と主張するのです。
 いろいろ実験してみますと、確かに耳では聞こえませんが、2万ヘルツ以上の音をCDの再生音楽に加えますと、明らかに脳波に変化が見られますし、音楽家やオーディオマニアは満足してくれます。細胞が感知して脳へ伝えるのでしょう。
 自然界には耳に聞こえない音(波動)や 「気」 が存在しているわけですから、それを人為的に除去しますと微妙な差が生じます。脳はそれを拒絶するのです。生の演奏会で体験する感動は、決してマイクを通した音からは得られません。どんなハイテクを駆使してもマイクを使わない生演奏にはかないません。脳が満足しないのです。(p.134-135)
  《参照》   『アマデウスの魔法の音』 ドン・キャンベル (アンドリュース・プレス)
            【モーツァルトの音楽特性】
 
<了>