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 シェルドレイク仮説を巡って著された書籍。船井幸雄さんの著作の中で紹介されて、多くの人々が知るようになったシェルドレイク仮説とこの書籍。
 興味あって密教を学んでいた大学生だった当時、著者さんは護摩法を修する阿闍梨に付座する内陣人だった。能天気なテンポラリー大学生修行者であったチャンちゃんは、著者さんに厳しく叱られたことを、今でも強烈に覚えている。めったに口を開かないとても寡黙な方だったから、その突然の叱責にはかなりびびって絶句したものである。


【シェルドレイクの遺伝的継承】
 DNAによる遺伝ばかりでなく、過去に存在した同じ種の生物の 「形の場」 からもその形質を受け継ぐというのだ。そして、この第2のタイプの遺伝は、遺伝子によらず、「形の共鳴」 によるというのである。つまり遺伝現象は、遺伝子と、過去に存在した同じ形からの 「形の共鳴」 によるというのである。つまり、遺伝現象は、遺伝子と、過去に存在した同じ形からの 「形の共鳴」 の、両方から成り立っていると考えるわけだ。  (p.49)
 サルのイモ洗い行動(=「百匹目の猿」 現象) (p.159) は、シェルドレイク仮説の適用が相応しい。
 牛乳ビンに入ったミルクを飲んだシジュウカラの事例 (p.126) も記述されている。 

 

 

【シェルドレイク仮説の検証】
 シェルドレイクは日本の有名な現代詩人・谷川俊太郎から3編の短い詩の提供を受け、イギリスとアメリカで実験を行なっている。その詩の一つは日本の子供たちになじみの深いホンモノの子守歌。後の2編は韻を踏んで特別に作ったニセの子守歌で、1つは意味が取れる詩、もう一つはまったく意味の取れない言葉を羅列したものであった。 (p.94)
 全く日本語の分からないイギリス人とアメリカ人を対象に、この3編の詩を覚えてもらった。
 結果ははっきりと出た。確率論的にいえば、どれも33%である。しかし、ホンモノの子守歌が一番覚えやすかった。62%が、ホンモノの子守歌が一番覚えやすいという結果がでたのだ。 (p.95)
 多くの日本人によってその子守歌が歌われてきたことによる 「形の共鳴」 によって、日本語を知らない人々でも覚えやすかった、ということができる。
 煩瑣なので書き出さないけれど、他にも、いくつもの検証例が記述されている。

 

 

【心の場に関わるシェルドレイク仮説】
 フロイトによって追及された個人的な無意識、ユングによって追及された人類に共通の普遍的な無意識、そしてソンディーによって追求された家族的無意識の世界である。そしてこれらの精神分析学の巨星たちの考えた概念の中に、シェルドレイクのいう 「形の共鳴」 現象で説明できるものがあるのだ。 (p.186)
 ユングのいう集合的無意識や元型といった概念には、「形の共鳴」 が適応できる。
 一般に神話的イメージは遺伝子によらず 「形の共鳴」 によって伝わる、と考えられる。
 恋愛、結婚、友情、職業、疾病、そして死亡の形式、つまり人生や運命を成り立たせている要素は、実はすべて家族的無意識によって規制されていると、ソンディーは主張するのだ。 
 彼のつくりだした先祖の強制的運命を分析する方法はすぐれており、このことからその精神分析学は、「運命分析学」とも呼ばれている。 (p.223)
 運命に関して解釈しようとするのであるならば、要は、個人であれ家族であれ人類全体であれ、想念の積み重ねによってできた 「場」 は、それを実現する因子になるということであり、「形の場」 とは、肉体を持たない人間の想念、つまり、霊の影響範囲ということだろう。
 この書籍で取り上げられている人々は、科学的な立場を墨守して書いているから、「霊」 という言葉は注意深く排除しているけれど、「形の場」 とは 「霊の世界」 であり、「形の共鳴」 とは、「霊が現実界に影響を及ぼすこと」 と割り切って考えたら、その方が一般の人々には分かりやすいはずである。
 当然のことながら、霊的世界(=非物質世界)は実在する。シェルドレイク仮説や、ドーキンスが名付けた抽象的な遺伝子 「ミーム」 などは、いずれ霊的世界をダイレクトに語るためのプロローグとなる学説(仮説)なのだろう。
 科学者のこ難しい学説より、一般人の認識の方がはるかに進んでいる。
 
 
<了>