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 寺子屋であって寺小屋ではない。江戸の語源は 「入り江の戸口」。そんな説明から始まっている。
 いつもどおりの暇つぶし読書。


【江戸の色】
 江戸の建物は、瓦が黒、壁が白、柱が茶色、障子が白、畳がベージュ、生活空間の色が、全部雀の羽色の中でまかなえます。江戸は派手なイメージがあるんですが、実は基本はこの雀の羽色なんです。 (p.59)
 ふーん。

 

 

【江戸の下町】
 当時の江戸の下町というのは、神田川の南、隅田川の西、江戸城の東、江戸湾の北、この細長い一体でしかなかったんです。 (p.11)
 当時既に、江戸は、同時代のロンドンやパリより人口の多い都市だったにせよ、現代から見るとごく限られた範囲で人々は生活していたことになる。

 

 

【江戸の「粋」と上方の「粋】
 「粋」 という字、江戸では 「イキ」 と読み、上方では 「スイ」 と読むんです。「イキ」 は 「息」 に通じるんです。呼吸は吐いた時に 「息」 になるんです。「スイ」 は 「吸う」 に通じます。 江戸はマイナスの美学。上方はプラスの美学。
 こそぎ落としていく、背負い込まない、吐いてゆく、削除してゆく、そうやってぎりぎりの最低限のところまで削り取っていって、最後に残った骨格のところに、何か一つポッとつけるのが、江戸の 「粋(イキ)」 なんです。
 一方、上方では、身の回りにあるあらゆるものを自分の中に取り込んで、血肉として自分を磨いてゆく。いろいろ習い事をしたり、情報を集めたり、教わったり教えたりという、人の間でもまれて身の内に吸収して 「粋(スイ)」 になっていく。(p.74-76)
 かなり思い切った対比ではあるけれど、分かりやすくていい。サムライ文化の江戸と、公家文化の上方という大きな文化的背景を補強材料として記述しておけば、もっと納得しやすいであろうに。

 

 

【江戸の心中】
 心中にしても、上方では男女双方思いつめて死んでしまうことが多いんですが、江戸では、落語にある 「品川心中」 のように、遊びの途中の駆け引きでもって、その場のノリで死んじゃう。恋の果ての突きつめた、昇華した姿としての心中ではなくて、成り行きでうっかり死んじゃったという、言ってみれば事故死ですよね。江戸の心中は、ほとんどこの事故死と考えてかまいません。
 西鶴、近松のような 「情」 の世界は、とうてい江戸にはなかった、ということをひとつ覚えて・・・。 (p.90)
 ここまで言い切られると、「ならば、江戸の人間は木偶の坊みたいなアホなのか」 と思えてしまう。普通に考えてみても、ちょっと書きすぎですよ、これは・・・
 
<了>