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 資生堂会長の福原さんとの対談。福原さんはワダエミさんから、「美学とはこういうものか、という思いが伝わってくる」と、あとがきに書いているけれど、この対談を読んでいた私には、殆ど美学らしいものは伝わってこなかった。対談の中で言及されているコクトーなどに関する知識が私にはないのだから・・・どうしようもない。

 

 

【 『宋家の三姉妹』という映画に4000着の衣装】
 私のいちばん最近の映画っていうのは、香港と中国の合作で、『宋家の三姉妹』 という宋霞齢、慶齢、美齢のスリーシスターズの話なんだけど、・・・・主役の衣装だけでも200着あるんですよ。・・・それ以外を入れますと、・・・全部で4000着くらい。 (p.46)
 この映画、かなり前に岩波文化ホールで観たことがある。中国側の政治的な解釈による歴史的映画という認識で見ていたから、当然のごとく私には衣装など殆ど印象に残っていない。この映画の衣装を日本人が作成していたことすら知らなかった。
 ところで、この映画のために作成された衣装の数を読んで、映画というのは甚だしい蕩尽の世界であることが実感できる。作られた衣装の内、一瞬であれ映像に映っていた衣装は、おそらく4分の1以下であろう。歴史的な視点を完全に排除して、衣装文化という視点のみでこの映画を観てみる必要があるのかもしれない。
 なお、日本の映画製作では先に予算が決められているため、外国映画のように、衣装製作者に、予算枠を超えてご随意な裁量が与えられることはないという。
 

 

【化粧文化・衣装文化】
 書籍に内容について書くことがないので、資生堂の他の著作に書かれていて印象に残っていることを書き付けておく。
 A:欧米、B:日本・台湾,C:中国・韓国、の化粧品のジャンル別売上げ比率には明確な違いがあるという。
 他と比べて売り上げに占める比率の多い化粧品ジャンルは、
 A:芳香系(香水・オーデコロンなど)。B:基礎化粧品系、C:メイクアップ系、なのだそうである。
 これを置き換えて表現すれば、
 A:感性系、B:自然系、C:外見系となりそうである。
 化粧と衣装は同系統の文化であるから、衣装についても同様な解釈は可能であるようにも思える。
 先週、台湾をブラブラしてみて思ったのだけれど、3年前にはやや派手と思えた台湾の大学生の服装が、かなり地味になっていた。殆ど日本の大学生と同じ感じだった。台湾の若者が、中国的な衣装を好むのか日本的な衣装を好むようになるのか、日本人としては興味深いところである。
 
<了>