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日本文化論を読みたい人には格好の書籍である。言及されている範囲は広く、しかも密度の濃い内容になっている。

 

 

【中国語に影響を与えた日本語】
 中国にとって、実のところ日本はこの100年間、ずっと中国の近代国家の国づくりのモデルとして、強い影響を与えてきたのである。
 岡田英弘教授によると「現代の中国語はなんと日本語によってつくられた」と断言しておられる。中国の日本留学生のはしりである文学者の魯迅は、漢文の弊害を認識して口語文を生み出すことに最大の功績があった。これによって漢文が公用語の地位を失い、小説も白話文という口語の文体に代わり、初めて庶民も文学に近づくことが出来るようになった。
 中国語の近代化に日本語の果たした役割は、単に文体だけではない。現代中国語の述語の多くは、日本が西洋語を翻訳した経済、行政、軍隊、社会など、ほとんど日本語からの借り物である。 (p.40)
 後半の記述内容は日中文化比較を学んだ人なら誰でも知っていることだけれど、前半の、漢文から白話文へという変化まで日本語の影響だったことを知っている人々は少ないだろう。

 

 

【日露戦争と日米戦争:戦後処理の違い】
 日露戦争後の、勝者として日本がとった敗者に対する寛容さと、日米戦争にける勝者としての米国がとった日本人に対する非道な扱いを対比すれば、日米どちらが武士道、騎士道に従っているか、どちらが野蛮かあきらかである。
 乃木大将は、ロシアの敵将ステッセル将軍を水師営に招き、天皇の大みことのりを伝え、「昨日の敵は今日の友」と遇し、敵の防備を天晴れと称えている。
 大量のロシア人捕虜は、四国各地の町々で市民にねんごろに扱われ、途中死んだ捕虜も手厚く葬られ、今でもその墓所には市民の献花や清掃が続いているのだ。
 これに対して、日米戦処理で米国は、日本の将軍や指導者を絞首刑にした。無謀な東京裁判では、5000人もがBC級の戦犯として刑務所に放り込まれ、1000人余りが死刑にされた。このように東京裁判と水師営を対比すれば、彼我の民族性の違いは明瞭になる。 (p.99-100)
 敵将ステッセルに対しては “天晴れと称えた” だけではありません。
 その後の経緯に関して(乃木大将の取った行動について)知りたい人々は、自分で丁寧に調べてみるべきだと思います。

 

 

【人は国語に住む】
 人はある国に住むのではなく、ある国語に住むのだ。祖国とは国語のことである。
 「国語の乱れは国の乱れ」といわれる。かつてドイツの哲学者フィフテは、1807年、ナポレオンに首都ベルリンが踏みにじられたとき、ベルリン大学で「ドイツ国民に告ぐ」という有名な演説を行い、「ドイツ語がある限り、ドイツ民族は滅びない」と叫んで、敗戦後のドイツ人に勇気を与えた。ドイツ語の中にドイツ人の魂が甦り、必ず祖国は復興すると確信したからである。 (p.174-175)
 日本語、それは世界で最も複雑であるが故に、世界で最も繊細な表現が可能な言語である。日本語こそ日本の国力の根源である。国語は誰にでも容易に習得できるように簡単にすれば良いというものではない。
 韓国のように漢字を捨ててハングルだけにするなどは、持っての他である。それを定めた為政者の愚鈍ぶりには呆れて口が塞がらない。日本語が “ひらがな” だけになったら、日本も間違いなく世界の劣等国家に成り下がるだろう。
 簡体字にしてしまった中国。繁体字を守っている台湾。台湾人が世界の学術・技術に貢献している学識レベルの高さは韓国人の比ではない。サムソンやLGが国際社会で活躍しているといっても、韓国企業はおしなべて日本の技術力によって支えられているだけである。
 チャンちゃんは台湾人の漢字を書く速さに目を見張ったことがある。とてつもなく速いのである。子供の脳は柔らかい。どんなに複雑な漢字・言語であっても習得できるのである。それは民族の優秀性を維持する絶対条件である。国語を簡略化するなど、とんでもない暴挙である。
   《参照》  “日本語”に関する引用一覧


【略奪は生存のための当然の権利!】
 西洋史の権威・会田雄次氏によると、「略奪が一番簡単で、一番豊かな生活を約束することで、ヨーロッパ以上の所はない。日本では泥棒、強盗はバカがやる一番損な仕事になっている。略奪はヨーロッパでは優秀な人間がやる仕事であると考え、まったく逆の価値判断である。英国の王家は先祖が海賊であったことを誇らしげに宣伝しているほどだ」と。 (p.212)
 勝者が全てを得るという状況の世界経済。その中でも金融を支配し終局的な企業略奪を目指す欧米の投資金融機関の存在。日本人にとっては理不尽極まりないものであっても、欧米人にとっては至極当然なのである。
 また、「銃を持つから犯罪が増える」と考える日本人と、「銃を持たねば安全は守れない」と考える欧米人の違いも略奪文化に絡んでいる。この基は、現在・過去・未来に渡る因果応報という三世に渡る世界観の欠如である。この欠如よって 「略奪は罪である」 という意識は決して生じない。

 

 

【『人類文明の秘宝「日本」』】

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 『人類文明の秘宝 「日本」 』 を書いた馬野周二氏によると、
 「現代日本は決して特殊なものではなく、実は人類が真っ直ぐに育ってくれば、当然そうなるべき姿に一番近いところにいる。日本文明は最高の普遍性を持っている。人類の技術と学芸は20世紀末ですべて出揃い、全世界に拡散した。来世紀はこれをすべて統合した汎世界文明の時代に入る。その建設の中核に日本文明をおいて外にあるはずがない。21世紀は神道を中心とする日本文明が世界をリードしなければならない」とのことだ。
 同感である。 (p.213)
 チャンちゃんも同感。
 馬野周二・著、『人類文明の秘宝「日本」』 は、チャンちゃんの実家の居間の本棚最上部中央に置かれている書籍。 
 チャンちゃんは、この読書記録のブログにめぐり合った方、国際関係や比較文化を学び始めた学生さんなどが、引用しやすいように、あえて内容の一部を書き出し、そのページを記載している。さらに、このブログをコピー可能な設定にしている。
 日本の役割を多くの人々に知って欲しいからである。
 そう遠からずして、世界に “かくやくと日輪が昇る” からであるから。
 
 
<了>