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 どのような過程をとるにせよ、中国はいずれ分割された連邦制国家になるであろうことを、中国人以外の多くの人々が昔から記述し、あるいは提案してきている。
 覇権意欲の染み付いた中国人には、このような考えなどとうてい受け入れられないだうけど、地政学的にも民族的にも、現在の中国の国土の大きさは規模の適性を明らかに逸脱している。


【統一と分裂】
 天下分裂が長く続けば、必ず統一の動きが出てくる。・・・統一ともなれば大軍鉄騎が全国を荒らしまくり、元をすぐ取るのである。一部の愚かな儒学者は、このような歴史的悲劇が一再ならず繰り返されることを世の常、尋常な社会現象とみなし、陰陽五行説でこれを説明しようとした。腐儒人を誤ることこれに過ぐるなし、と言うべきであろう。現代の一部の 「学者バカ」 も統一王朝を美化し、分裂統一の過程においてどれだけ多くの人々が生活に苦しみ、人権を侵害されたかということには目を向けようともしない。 (p.65)

 諸外国の、特に近代西欧の戦争史から学べることはいくらでもあるであろうに、「中国には中国のやりかたがある」 と夜郎自大な知的偏狭さでもって開き直る態度は如何ともしがたい。これ即ち中華である。


【「牧民」 思想】
 中国のインテリと野心家の持つ 「牧民」(国民を羊とみなして管理する)の意識を根から断ち切り、各国各地域の人々が自らの幸福を自らの手で追求するにまかせ、・・・ (p.150)

 「牧民」 思想は、覇者の思想である。中国の皇帝は覇者であるけれど、日本の天皇は覇者ではない。機を織る神の系譜にあり、自らも田に稲の苗を植える日本の天皇が、覇者であろう筈がない。
 中国が、「中華・牧民」 思想であるならば、日本は、「大和」 思想である。「大和」、それは 「大いなる和」、つまり 「大いなる(長期・安定的な)平和」 のうちに国を治める思想を持つ国である。


【中国の偏執、北京のチョー偏執】
 訳者あとがきには、こう書かれている。
 私は・・・日本語学校の校長をしています。学生は、台湾人、韓国人、中国人の順に多くて・・・広い意味での日本文化になれ親しんでもらおうと、季節ごとの日本の伝統的な行事を学校の中でやって見せます。7月には七夕祭りです。面白いのは中国人留学生の中で「希望中国富強」と書く者が決まって何人か出てくることです。学生は毎年入れ替わっても、このことは変わりません。他の国の場合には見られない中国人留学生特有の現象です。 (p.177)
 チャンちゃんも、中国人の覇権欲・支配欲の異常さに何度か接している。台湾人と中国人の留学生が和やかに楽しく協力し合っている時に、政治の話になった途端、中国人学生はまるで別人になってしまうのである。ビックリするのを通り越して、その激変振りを見ていたチャンちゃんはクスクス笑いだしてしまったほどである。特に共産党幹部の師弟ないし北京出身者の異常ぶりは、日本人から見ていると狂気に近い。
 現在の日本にIT技術者として働きに来ている中国人の出身地は、おそらく上海周辺が一番多くて、次が大連のはずである。日本企業が先に進出した地域であるから当然であるけれど、もともと北京では 「日本の企業で働く」 と言うと、蔑視されるそうである。
 海外に出たことがなく、大学も北京だけで過ごしたというようなインテリ中国人の知性と、平均的な日本人の知性とは、ホトホト噛み合わないはずである。
 政治都市・北京、それは中華の中の中華である。
 それでも “偏執” が “変質” して相互理解が進むことを期待しよう。

 

 

<了>