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 アセンションという単語は、90年代からニューエイジ系の本を読んでいた人々ならば知っていた単語である。
 これらの本の著者は、世紀末を挟んでアセンションが起こると言いたかったのであろう。
 船井さんは、2012年12月22日という特異日付近をターゲットにこの著作を著したらしい。


【アセンション】
 キリスト教徒にとっては、キリストの昇天を意味する。しかし、この本で言うところのアセンションとは、「次元上昇」の意味。
 今宇宙から多量の「光」が地球に降りそそぎ始めており、それが人々に大いなる気づきと癒しをもたらし、これによって一人ひとりの人間がカルマを解消することにより、人類はもとより地球全体が次元上昇するということです。さらに、アセンションに伴う変化を受け入れられない存在は、人間も含めてもう地球上に住むことができなくなり、ほかの惑星に住むことになるということをいっていますが、これも共通しています。(p.44)
 この文章は、世界中でアセンションを語る人々の主張に共通する部分として、著者が記述しているもの。
 アセンションによる変化は、地球が愛に向かう繊細な波動帯域に入るが故に生ずることであるから、継続的に地球に住めるかどうかは、清らかな共生の心、愛の心で生きているかどうかが、選別基準になるということらしい。自国だけ自分だけの勝ち組入りを目指している国家指導者や個人は他の惑星へどうぞ、ということらしい。


【2012年12月22日】
 現在から7年ほどの未来に、地球はフォトンベルト(光子帯域)に入る、という特異日がこれである。南米でスペイン人に殲滅されたマヤ文明の暦は、この日で終わっているという。


【『ヒマラヤ聖者の生活探求』】
 この本の中で著者が頻繁に言及し推薦している書籍に、『ヒマラヤ聖者の生活探求』 という本がある。著者は、この本以外の本の中でも、この書籍を度々紹介している。アセンションを終えた地球に住む人類は、『ヒマラヤ聖者の生活探求』 という本に書かれているような世界になるであろう、ということである。

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 学生時代に、真言密教を中途半端に学んだことがある。空海の密教は中国人・恵果から受け継いだものではあるけれど、その源流はインドであるがゆえに、必然的に 『ヒマラヤ聖者の生活探求』 という本に出会っていた。信じがたい世界のことが書かれていたのだけれど、“透明な波動に撃たれた” と言うような印象だったことを記憶している。
 仏教の系譜であれそれ以外であれ、エソテリックな世界に興味を持ち導かれてきた人々にとって、この本は必ず到達する本なのではないだろうか。学生時代に読んで以来、4・5冊組、箱入り布装丁で作られている霞ヶ関書房のこの本は、決して裏の倉庫には格納されることなく、ガラス張りの本棚の中央に置かれたままの常態が続いている。

 神道の秘儀に出会って密教の系譜は不要とも思っていたのだけれど、再読すべきなのかもしれない。

 

<了>