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 表紙の著者名の上に、「言葉の料理人」、とありますが、文字通り言葉が料理されています。普段なにげなく使っている言葉の一部を置き換えたりすることで、受け取る側に新鮮な驚きを喚起してくれます。

 著者は、「時代が求める言葉を創造して、創形文字を作ることです」 と書いています。
 例えば、もくじにあるのは、

○美サイクル  ○身からでたサービス   ○感性はがき

○楽力不足   ○感動説   ○負けるが価値   ○今日訓

○オコノミークラス   ○やっぱり笑売だね

 などです。
 推して知るべし・・・ということで、これ以上、書く必要はないでしょう。

 著者は、「笑顔って 人を魅きつける やっぱり笑売だね」 という標語を提示しています。普通の企業経営を活性化させるための標語なのですが、私はこれを見て、笑売を商売に、「笑いの総合笑社」を目指して、フジテレビを乗っ取ってしまいそうな勢いの吉本興業を思い出しました。
 『人が化ければ会社も化ける』 中邨秀雄 (ウェッジ) を読んで、お笑いを総合的にプロデュースする企業の価値を肯定的に理解していました。しかし、やや懸念を感じてもいます。
 高ストレス社会とお笑いは、相互補完(依存)関係として社会に生じているのでしょう。最近は、お笑い芸人さんたちがテレビに頻繁に出演していて、笑いがあちこちに満ちています。明るい癒しが必要な高齢者には相応しいのでしょうが、全ての若者達がこのような番組ばかりを見ているのなら、間違いなく日本の国力は衰退してしまうように思えます。
 42歳でノーベル賞を手にした田中耕一さん達の世代の若い頃は、今ほど、お笑いはなかったはずです。ちょっと心配です。悩んだり、考えたりするのが若者の特権なのに・・・・・と思うからです。私は、高校を卒業してから10年間ほどテレビのない生活をしていました。余りテレビは見ないほうが良いと思っている今日この頃です。

 

<了>