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 著者は、糸川英雄さんと同様、日本の航空技術の黎明時代に活躍された方です。科学雑誌に連載されていた 「進化の設計」 というエッセイを書いておられた方で、チャンちゃんは大学生の頃、このエッセイを読んで航空術の面白さを学ばせていただきました。
 1908年生まれの方ですから、青年の頃、戦時下のドイツで航空技術を学んでおられたようです。第一次大戦前後の頃の世界各国の航空技術の実状が分り、面白い本でした。

【 「紅の豚」 に出てきた戦闘機は? 】
 宮崎アニメの中では異色の、大人を対象にした空のロマン作品の 「紅の豚」 は、複葉機の時代を描いていました。このアニメの中で 「カーティス」 という名前が出てきていたのを覚えています。「紅の豚」 の全体的な作品イメージから、フランスかイタリアなどの西欧の航空会社の戦闘機名称だと思っていたら、「カーティス」 ってこの本によると、アメリカの航空会社の名前でした。ちょっとイメージが崩れました、残念。
 
【 ドイツのユンカース社 】
 ユンカース社は、1900年代初頭に最盛期を誇り、現在の航空に重大な貢献をした会社だそうです。しかしこの会社の跡地は、今では徹底的に破壊されているそうです。これを行ったのは、旧東ドイツ政府だそうです。
●旧東ドイツ政府は、ここまでして航空も宇宙もすべてソ連さまのおかげです、われわれはこれに感謝しましょう、といったのだ。これに類するゴマスリ、へつらいはほかでもいくつも見受けた。(p.149)
 ということです。強大な国家に対して、下位の国家はここまで卑屈に振舞うものなのか・・・と唖然としてしまう歴史上の事実です。

【 戦闘機のネーミング 】
 戦闘機につける名称には、国によって文化的な違いが顕著に現れます。これだけで比較文化の考察ができそうです。
 戦闘機の名称ですから、「ファルコン(隼)」 や 「ホーク(鷲)」 など猛禽類の名前を付ける例は各国にあったようです。日本にも 「飛燕」 や 「隼」 という名称があったそうです。しかし、イギリスのグロースター社戦闘機には、ニワトリ系列の名前があったのだそうです。ゲームコック(しゃも)とかゴーコック(赤雷鳥)などコックが沢山あったそうです。以下は本文です。
●日本人の感覚からすれば、ニワトリが悪いのは、コケコッコーで飛ばない先入観のためである。それを 「ニワトリ軍団、出撃せよ」 と命令されたのでは張り切るどころか、逆に、ヤキトリにされるのではと厭な予想が先に立つ。(p.203)
 まさに噴飯ものです。笑っちゃいました。

【 飛行機は何故飛ぶのか? 】
 女性は、素直な感想として、「こんなに大きな鉄の塊が空を飛ぶなんて信じられない」 と、飛んでる最中によく言っています。これを聞くたびに、チャンちゃんはマジに 「流体力学という分野で、ベルヌーイの定理ってのがあるけど、説明しようか」 と心中で思うのですが止めてしまいます。翼の上下を流れる気流の絵を描いて、定理の数式なんか書いたら、女性を思いっ切り不機嫌にさせてしまいそうに思うからです。 ( 因みにチャンちゃん、流体力学は必須科目でしたから、この単位を取らないことには卒業できなかったのです。爪の先っぽ1枚で、一応卒業はできました )

 飛行機が飛ぶ理由なんて、どうでもいいのです。魔女のホウキが飛行機の下に沢山付いているのに違いないと信じていても良いのですから。そのほうが、女性は可愛いかも・・・・。
 しかしです・・・。
 男性で、女性と同じことを語っていた人に出会ったことがあります。その人って、ホグワーツ魔法学校の卒業生であるに違いありません。ハリーポッターと同じ魔法使いは日本にも結構いるようです。

 

<了>