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 アメリカ人の精神科医師である著者が、催眠療法で患者を治療している最中に、患者が前世に戻ってしまうという事態に遭遇し、その間の会話を記録したものです。
 今や日本でも、「オーラの泉」 という番組で、美輪さんと江原さんによって、前世のことは当然のことのように語られています。しかし、日本語訳のこの書籍は1991年の初版です。アメリカではシャーリー・マクレーンの  「オウト・オン・ア・リム」 やこの書籍が起爆剤となって、15年も前に、輪廻転生がテレビで話題にされていたそうです。


【前世を知ることの有効性】
 「前世での印象的な事件や思い込みは、魂の癖(仏教ではこれを「燻習」と表現しています)として、今世に持ち越されてくる」 そうです。このことを前提として受け入れ、さらに、「脳は、現実に起こっている現在進行形の感情と、印象として想起されている感情を、区別ができない」 という脳科学の基本前提を考え合わせれば、前世が今世に影響を与えていることは納得できます。
 臨床の現場では、こういった過去の辛い体験やそれに伴う感情を、認識し受け入れるならば、それが原因となって発生している心理的・生理的な不均衡が改善されることが確認されています。


【輪廻転生の意義を知ることが大切】
 この本の英語の原題は、[ MANY LIVES, MANY MASTERS ] となっています。マスターズとは、“輪廻転生を司るものたち” と理解すればいいのでしょう。この書籍の中で所々に記述されているマスター達の語りは、輪廻転生の意義を教えてくれます。


【精神世界の中心は】
 現在の日本人にはまだ、日本国内のものより外来のもののほうが優れていると考えている人々が多いようです。明治維新以来、脱亜入欧をスローガンとして、欧米からいろいろ学んで来たからでしょう。この読書記録でもアメリカの翻訳本を元にしていますが、この本に書かれているようなことならば、日本人で昔から語っている人々は何人もいます。

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 私は、インドのラジニーシというグル(指導者)の書いた 『信心銘』 という中国の禅僧・ソウサンに関する本を読み多くの気付きを得たことがあります。このインドのグル・ラジニーシをはるばる尋ねて行った日本人に、彼は 「日本には優れた禅があるではないか」 と言い放ったそうです。そしてラジニーシ自身、後に自分自身の呼称を、日本語の “和尚” に変えたということです。
 「灯台基暗し」 なれば、己が国にて「脚下照顧」 すべし、という処でしょうか。

 

<了>