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 「さっくり、すっきり、歯切れ良し」そんな感じの読後感でした。活字の多い理路整然とした本が必ずしも一般の読者に素晴らしい内容を伝達し得るとはいえないし、詳細な記述をそぎ落とすことでやや不備に思えてもコンパクトに表現することの効果はそれなりにある。中谷さんの本を読むたびにそんな良さを感じてきた。この本には日下さんのもつ高い知性と深い教養が、中谷さんの簡素化魔術によって「さっくり、すっきり、歯切れ良し」に仕上がっている。
 「幸せ探し」や「自分探し」をしている人々にも、この本は大いに参考になるのではないかなぁ・・・。しかも知性と教養を磨きながら、日本文化と日本の底力も学べる、とととととっても良い本だと思う。


【この著書の中でも「日本チャチャチャ」の応援団長のお気に入り箇所】
 「アメリカは成功を語り、日本は幸福を語る」(p.127)

 この章のまとめとして「成功より、幸福を大切にしよう」と中谷メモが記述されている。
 西欧や日本は、古い歴史と文化がある国々だからこそ、成功よりは幸福を語りうる。安々とアメリカに与することのない西欧。それに比べて日本は・・・・。もっと日本的な生き方、即ち日本の文化的な生き方を毅然として貫くことだって出来るはず。個々人だって・・・。自信を持とう日本人。


【この本で初めて知ったビックリポイント】
 「大阪に帝大設立が遅れたのは「要らん」と返上したから」(p.156)

 この章の中で、石門心学以来の伝統ゆえに帝大設立を断った大阪のことが語られている。なるほどと思える。大阪人は毅然と生き方を貫いていたのである。
 <ここからやや脱線>
・日本帝国大学の設立順について、
 1番:東京大学、2番:京都大学、では3番と4番は? 
 東北大学でも九州大学でも名古屋大学でも北海道大学でも大阪大学でもない!
 なんと台湾大学と朝鮮大学だそうです。
 韓国人にさんざんブーブー言われてきた私としましては、この点の知識不備は・・ウー・・くやしい。

・留学生の歴史認識に備えるためには、
 黄文雄さんの「台湾は日本がつくった」(PHP)と
          「韓国は日本がつくった」(WAC)がコンパクト。
・因みに、北朝鮮で現在稼動している最大出力の水力発電所(ダム)は、日本統治時代に作られたものだそうです。長谷川慶太郎さんの本に書いてありました。反日教育のカウンターとなる揺ぎ無い物証ですけど、そんなことより北朝鮮の停滞ぶりに唖然とします。

 

<了>

 

  中谷彰宏・著の読書記録

 

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