やり切れない気持ちを抑えて…。第2節。VSモタグア。アウェー。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

やり切れない気持ちを抑えて…。第2節。VSモタグア。アウェー。




耐え難きを耐え…の続きです。




VSモタグア!2014年1月19日①


VSモタグア!2014年1月19日②


VSモタグア!2014年1月19日③



 【開幕戦】の際に「絶対に、第2節までに手続きの問題を解決して、ベンチ入りする。もう、こんな思いをするのはこりごりだ」と誓っていましたが、結局、未だに問題は解決しないまま、今日の第2節を迎えてしまいました。

 チームの一員として戦っているのに、ベンチ入りできない。GKアップまではピッチで行っているのに、試合が始まるとチームメイトたちと離れて観客席から観戦せざるを得ない…。

 理不尽かつ不可解な状況に、本当に歯がゆく、悔しく、やり切れない気持ちで一杯でした。

 しかし…。1人の「コーチ」として、歯がゆく、悔しく、やり切れない気持ちをチームメイトたちの前で見せる訳にはいきません。僕が落ち込んだ様子を見せていたら、ピッチで戦うGKたちが良い状態で試合に臨めるはずがありません。僕は、湧き上がってくるやり切れない気持ちを何とか抑えて、チームメイトたちの前では何事もなかったかのように振る舞い、「コーチ」としての仕事を全うしました。

 GKたちは、最高の状態に仕上がりました。GKコーチとして、自信をもって送り出しました。

 勝利が問題解決に繋がるのかは分からない…(この問題は、もっと別の所に問題がある。会長が手続きを渋る裏の理由があるのです)。けど、結果が出ないより出た方が、問題解決に繋がる可能性が1%でも上がるはず…。



 道を切り拓くためにも…。絶対に負けられない。



 果たして、結果は…?



VSモタグア!2014年1月19日⑥


VSモタグア!2014年1月19日④


VSモタグア!2014年1月19日⑤





※他会場の試合も入っています。レアル・ソシエダの試合は「04:22~08:46」です。赤がレアル・ソシエダです。






※失点シーン(高画質)です。






 レアル・ソシエダ、モタグアに「0-1」で敗北…。



 レアル・ソシエダは僕が居た昨年の後期も含めモタグアとは1年間で4回対戦し「2勝2分」で負けなし。抜群の相性の良さを誇っていました。ところが、この日は敗北…。今季からモタグアの新監督に就任したアルゼンチン人のディエゴ・バスケスは、「ビッグクラブ」である事のプライドをかなぐり捨て、ビッグクラブらしい「良いサッカー」をするのではなく、「がっちり引いて守ってカウンター」という完全「結果重視」…まるで弱者が強者と戦うかのような「守備的」なサッカーをしてきました。しかも、ホームにも関わらず…。

 こういう相手に対しては「絶対に先制点を許してはならない」のですが、あろう事か前半の早い段階でセットプレーのマークミスから失点し、結局、その後、試合を支配するも守り切られてしまい、挽回する事はできませんでした。マークは全て、誰が誰に付くか試合前に予め決まっていました。得点者に対するマークも、当然、決まっていました。にも関わらず、マークを外してしまった…。監督もこれには激怒。些細なイージーミスが、高いレベルの試合では命取りになる…。これでは勝つ事はできません。試合全体を見ると、チームとしては良いサッカーができていただけに、非常にもったいない試合となりました。

 そんな中…。GKコーチとして救いだったのが、GKサンドロ・カルカモの活躍です。僕はGKコーチだからと言って、ひいきはしません。GKが悪い時は「悪い」とちゃんと書きます。この日のサンドロは、チームが相手の戦い方に混乱して招いた数多くのピンチをことごとく好セーブで防ぎ、失点を最小限に食い止めてくれました。開幕戦で2回あったキックミスも、その後に共に再発防止のための練習を徹底して行い、この日はパーフェクト。「サンドロにはホンジュラス代表GKになってブラジルW杯に出場して欲しい」と本気で考えている僕は、「これでまた一歩、サンドロの代表入りに近付いた」と大きな手応えを掴む事ができました。

 チームとしても、開幕から「4大ビッグクラブ」2チーム(オリンピアとモタグア)と「2試合連続アウェー戦」を戦わなければならないという厳しい日程の中で、2試合で「勝ち点1」を獲れた事は、決して悪くない結果です。これから逆に第3節、4節は「2試合連続ホーム戦」(しかもレアル・ソシエダが無類の強さを誇るホーム戦)である事を考えれば、一気に浮上する事も充分可能。実際、開幕戦、この日の第2節ともにやっているサッカーの内容は非常に良く、チームとして「正しい方向に進んでいる」という自信と実感が、監督、コーチ、選手…全員にありました。


 だからこそ、今の自分の状況が歯がゆく、悔しく、やり切れない…。
 

 実はこのように「手続きの遅れでベンチ入りできない」という状況は、過去にアルビレックス新潟シンガポール時代(以下「アルビS」)にもありました。確かあの時は2ヶ月近くベンチ入りできなかったと記憶しています。ただ、不安は当然ありながらも「日本人だから必ずちゃんと手続きを行ってくれるはずだ」という、「日本人」だからこその信頼が当時はあったので、今よりも冷静に待つ事ができました。
事実、アルビSではこの後きちんとこの問題が解決し、しっかりベンチ入りして戦えるようになりました。やはりこういう事に関しては、日本人は世界の中でも1、2を争う「しっかりした民族」です。

 ところが、ホンジュラスは違う。特に、このチームは違う。「手続きが遅れている」というか、そもそも「手続きを本当に行う気があるのか?」という事すら疑わしい…。チームが手続きにかかる費用と僕の給料などをケチりたがっているのは、もはや見え見え。それでも前回ブログに書いたように「手続きを行わないなら、ここを去る」という自分の本心を伝えると、向こうもビビッて「手続きを行うよ」と初めて言ってきて、必要書類をチームに手渡す…というところまでは、どうにかこうにか辿り着きました。



 問題解決、間近なのか…?それとも…?



 この後、衝撃的な展開が僕を待ち受けていました…。



※ホンジュラス代表FWロニー・マルティネスと。一昨年までは2部リーグでしかプレーした事のなかった26歳の選手が、昨年、1部リーグ1年目でいきなり得点王を獲得するなど大ブレーク。今ではホンジュラス代表の常連となりました。速い、強い、上手い、賢い、謙虚、左右両足・ヘッド…どこからでも得点できる、前線からの守備も献身的に行う…など、全てを兼ね揃えた万能FWです。昨シーズン終了後には、国内ビッグクラブや海外からもオファーが殺到しましたが「ブラジルW杯出場」を最優先させるため、慣れ親しんだレアル・ソシエダに残留しました。怪我などがなければ、おそらくほぼ間違いなく、ブラジルW杯に出場するでしょう。

VSモタグア!2014年1月19日⑦


VSモタグア!2014年1月19日⑧




つづく



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